“逆転のミナミ”が、快進撃だ! 仙台南が名取北との「南部地区対決」を制し、創部初の4強入りを果たした。エース左腕・中川陽市郎(3年)が8回から救援登板し2回無失点。1点を勝ち越した9回無死二塁のピンチを3者凡退で切り抜け、ガッツポーズで勝利を確信した。今夏は全4試合で逆転勝利。26日の準決勝は第1シード仙台育英と対戦し、初の決勝進出を狙う。

初の4強へ-。5-5の同点で8回に突入するタイミングで中川に出番が回って来た。一塁側ブルペンから駆け足でマウンドに向かい、左足で土を軽く掘って投球練習を開始。「同点だったので、何が何でも絶対に0点。0点で抑えて流れを持ってくる」と気合を入れて臨んだ。2死から連続四球を与え、一、二塁としたが、相手2番を三ゴロに封じ無失点。左拳を握って声を出し、仲間が待つベンチに走りだした。

エースのプライドが、得点を許さない。同裏、林英雄内野手(3年)の右犠飛で1点を勝ち越して迎えた9回。先頭打者に四球を与え、暴投で二塁に進塁された。勝敗を左右する大事な場面で、勝つために投球の肘の高さを変えた。「マウンドの硬さにアジャストできなかった。肘の高さを変えたりして、持っている力の中で一番いいボール、勝負できるボールを模索しながら投げた」。球場全体が注目する中、強い気持ちで左腕を振り、中飛と2者連続三振でアウトを重ねて試合を決めた。

ナイン一丸となり、4強まで勝ち上がってきた。1回戦は第5シード仙台一に終盤の大量得点で8回コールド勝ち。利府との2回戦は延長戦を制し、仙台城南との3回戦は9回サヨナラ勝ちを収めた。松木健林(たけしげ)監督(45)は「ギリギリのところで踏ん張れているのが大きい。うちは守備からリズムを作るチームなので、大事なところでミスが出ていないという粘り強さだと思う」と振り返り、ナインをたたえた。

快進撃で初の決勝進出。優勝も視野に入る。準決勝で戦う仙台育英には、昨秋県大会準々決勝で8回コールド負け。この一戦で完投した中川は「まだまだ実力が足りていないと感じた。それを踏まえて冬と春を乗り切った成果をしっかり出していければ」。勢いに乗るミナミのエースが、雪辱に燃えている。【相沢孔志】