一戦必勝の「ライオン軍団」が歓喜に沸いた。第1シード仙台育英が聖和学園を3-1で下し、3年ぶり29度目の夏の甲子園出場を決めた。遠藤太胡(だいご)外野手(3年)が2得点に絡む活躍でチームをけん引し、ノーシードで初の決勝進出を果たした相手を振り切った。

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仙台育英ナインが、3年ぶりに夏舞台で笑顔を咲かせた。2点リードの9回2死一塁。三ゴロで最後のアウトを奪って試合終了。9回の守備で退いた遠藤は「すごくうれしかった」と笑顔でマウンドへ。集結するナインの姿は西に沈む太陽に照らされ、喜びを表す影も徐々に大きくなっていった。20年の独自大会は優勝の喜びを抑えながら整列する先輩の姿をスタンドで目に焼き付け、21年は4回戦敗退。高校最後の夏に県王者の喜びを分かち合った。

チャンスで最低限の仕事をこなした。2回1死三塁で先制スクイズ。同点の4回2死三塁ではカウント1-2で相手投手の変化球に体勢を崩されたが、こらえた。「逆方向よりも(バットの)ヘッドをかえして三遊間にもっていきたい」と食らいつき、遊撃に勝ち越し適時内野安打を放った。以降は5回から救援登板した古川翼投手(3年)が2安打10奪三振と好投。勢いのある相手に逆転を許さなかった。

前日26日は仙台南との準決勝が予定されたが、新型コロナの影響で仙台南が出場辞退。25日に不戦勝で決勝進出が決まった。遠藤は「自分たちも試合がしたかった思いだった。何とも言えない、言葉が出ないような夜だった」。それでも26日、須江航監督(39)の一言で再び心に火が付いた。「練習前のミーティングで『仙台南の分も勝とう』という言葉がありました。1日準備する時間が増えたのでしっかり準備できた」。気を引き締め、負けられない頂上決戦に臨んだ。

一戦必勝で全64チームの頂点に立ち、宮城代表として夏の甲子園に乗り込む。21年春のセンバツで聖地の土を踏んだが「春と夏は雰囲気が違うと思う」。月日が過ぎて、挑む最後の夏。「宮城のチームを背負って甲子園で戦いたい。守りで崩れず一戦必勝で戦いたい」。全国の猛者が相手でも、やることは変わらない。【相沢孔志】