仙台育英(宮城)が史上初の5投手による完封リレーを決めた。夏3年ぶりの1勝で16強入り。登板した全員が最速145キロ超えで、2安打、14奪三振という圧倒的な内容だった。先発した高橋煌稀(こうき)投手(2年)が、5回1安打5奪三振で試合を作ると、2番手のエース左腕・古川翼投手(3年)は、2回無安打3奪三振。後を受けた仁田、斎藤蓉(よう)、湯田もぴしゃりと締めた。

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全員がエース-。仙台育英が「投手王国」ぶりを発揮した。初陣の先発を託された最速145キロの高橋は、初回から140キロ台の直球で強気に押した。勝負球、カウント球もほとんどが真っすぐ。自身最終イニングとなった5回は、142キロで見逃し三振、141キロで三ゴロ、143キロで二ゴロと9球でテンポ良く仕留めた。「後ろに古川さんが控えているので、毎回毎回、全力で行こう」と無失点でつないだ。

捕手の尾形とは、小学生の時からバッテリーを組む。「心が通じ合っている」。最高のコンビ。その2人が在籍した登米友球ジュニアの監督が、高橋の父達也さん(45)だ。県内では仙台育英のライバルでもある東北で投手だった達也さんは、この日アルプス席で観戦。「率直にうれしいですし、不思議な感じですよね」と笑顔だった。

バトンを受け取った背番号「1」の古川は、0-0の6回からマウンドへ。初回をわずか7球で3者凡退に仕留めると、その裏に打線が5点を奪った。3番手で自己最速147キロをマークした仁田、2人の打者から2三振を奪った斎藤蓉、そして自己最速146キロを計測し空振り三振で試合を締めくくった湯田も、それぞれの持ち場で輝いた。

古川は言う。

「1人1人、マウンドに立ったら、そのチームのエースだという気持ちで投げるように意識しています」

「投げ勝つ」仙台育英は、「打ち勝つ」明秀学園日立(茨城)と15日の3回戦で激突する。3年ぶりの8強へ、鉄壁投手陣が再びゼロを並べる。【山田愛斗】