二松学舎大付(東東京)の1年生4番が、一振りで甲子園を沸かせた。片井海斗内野手が3回、137キロ直球を完璧にとらえ、左中間スタンドまで運んだ。甲子園初安打が本塁打で、1年生4番の本塁打は史上3人目。右打者では83年PL学園の清原和博以来となった。二松学舎大付は2年連続の16強入りで、春夏合わせて10勝目。初の8強入りをかけて、3回戦は大阪桐蔭と対戦する。

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先輩たちに出迎えられた片井は、あどけない笑顔を見せた。3-0で迎えた3回1死、カウント1-2から137キロの高め直球を完璧にとらえ、左中間スタンドへ。甲子園初安打が大会18号。「本当にうれしいです。今までで一番いい感触で打てた」と振り返った。

東東京大会5回戦から、小林幸男主将(3年)に代わって4番を任される。大舞台での大役にも動じず、2安打2打点をマーク。そんな性格は、先輩に「強心臓」と表現される。夏前の関西遠征で、先輩たちと同部屋になった。年下で緊張して、なかなか寝付けない…かと思いきや、大きないびきで真っ先に夢の中へ。

175センチ、97キロの体格で、市原勝人監督(57)は「将来うちの学校を背負ってもらう選手」と期待。同校OBのカブス鈴木と比べても「打球方向がセンターから右中間寄りと似ていて実戦向き。誠也は1年生でここまでの活躍はできていなかった。今の子の方が精神的にも落ち着いている」と評価する。

歴史をぬりかえた。過去4度の夏甲子園では、初戦を突破するも2試合目で敗退。初の2勝目に、片井は「大きな1勝」と喜んだ。初戦で札幌大谷にサヨナラ勝ち。本来なら盛り上がるが、宿舎に帰るとすぐにミーティング。市原監督は「ここで終わりじゃないんだ。もう1回、気を引き締めていこう。ここで満足するのはやめよう」と厳しい言葉もかけた。目標はさらに上。初の8強入りへ、1年生4番が波に乗る。【保坂恭子】

○…エース左腕の辻が2試合連続で先発し、試合の流れをつくった。5回2死まで無安打。丁寧にコースを突き、好守備にも助けられて7回を被安打4の2失点。ケガに苦しみ、今夏から背番号1を背負う。昨年はスタンドから応援しており「こんなにいいピッチングができると思わなかった。調子に乗らずに、謙虚にひたむきにこれからもやっていきたい」と話した。