王者の“不動心”だ。予想と違う相手先発が出てきても、大阪桐蔭が初回から優位に立った。

西谷浩一監督(52)は「先発は1番(の辻)かと思い、準備していた。違ってびっくりしましたけど、他の投手の動画も少し見ていた。動揺することなく、試合に入れました」と明かした。

大矢ら投手陣の投球は動画で確認。投球フォームに合わせた目付け、スイングを重ねていた。初回、先頭の伊藤が二塁打で出塁。そこから1死一、三塁と好機をつくり、4番丸山は遊撃手が二塁ベース近くに寄った「丸山シフト」を三遊間への適時打で破った。

「ショートの守備位置を見て、狙っていました」と、遊撃手が動いた後へ狙いすましたような先制打。海老根も適時打で続き、初回に2点を挙げた。3-0の4回1死から伊藤が打球を処理した左翼手がもたつく間に三塁へ(記録は二塁打と失策)。好走塁を4点目につなげた。本塁打ゼロに終わっても、効果的に点を取る。底力で、また1歩頂点に迫った。【堀まどか】

大阪桐蔭・伊藤櫂人内野手(3年=4点目につなげた4回の好走塁に)「レフトがはじいたのは見えた。全力で走りました。1つのスキがあれば(次の塁を)狙う。1つのプレーが点につながるので、チームみんなで指摘し合ってやっています」

大阪桐蔭・星子天真主将(3年=相手の先発予想に)「左のいい投手2人。そこに合わせながらやっていた。でも右もいるので、しっかりデータを見ながらやっていた。ブルペンを見ながら、ある程度の状態はつかめますので」

◆個人1試合最多二塁打3 大阪桐蔭・伊藤が記録。21年の山里宝(神戸国際大付)が北海戦で記録して以来30人目。