3位決定戦では韓国投手陣を打って試合を決めた。1次ラウンド最終戦の台湾戦からスーパーラウンドにかけ当たりが止まっていたが、打って銅メダル獲得はいい締めくくりだった。

野手では浅野が大きな注目を集めたが、私は内海のバッティングがもっとも内容があったと感じた。センバツ大会で見て、内角への対応に非凡なものを感じていた。8月末の大学生との壮行試合で打った右中間へのホームランは、パンチ力も証明した。

タイプとしてはアベレージヒッターで、広角に打てる。ボールをしっかり見極めており、木製バットへの対応にも苦しむ様子は感じなかった。走者をかえすバッティングを心掛けていた。現時点で大学進学などの進路がどうなるかは分からないが、打者としての可能性は非常に高い。

注目の浅野はメキシコ戦での本塁打が強く印象に残っているが、その後はやや調子を落としてきた印象がある。初見の投手を国際大会で打つことを考えれば、調子の波があるのは当然のことだ。これからの課題は140キロ後半のキレのある真っすぐと変化球への対応力を磨くこと、この1点に尽きる。浅野の打撃の技術から考えれば、レベルの高いところで実戦を積むほどに順応していくと感じる。木製バットでも、浅野らしい強いスイングをしている。もともとがっしりはしているが、さらに体も強くなっていくだろう。

投手では川原のオランダ戦のピッチングが光った。やや力を抑えたように見えたが、これで140キロ後半の真っすぐをアベレージで出せるようになると、可能性は広がる。何よりも真っすぐを軸に、力のあるボールを磨くことだ。山田は、まずコンディションをしっかり整えてほしい。疲労の蓄積があるはずで、回復が優先される。素材の良さは誰もが認めるところだ。

最後に捕手松尾は3位決定戦の韓国戦で2点適時打を放ち、勝利に貢献した。打って守れる捕手としての能力は高い。プロでは、まずはディフェンス面が大切になってくる。覚えることはたくさんあるが、今の時点でひとつ挙げるならキャッチングだ。

球審がジャッジしやすく受けること。癖だと思うが、見ている限りでは、松尾自身がストライク、ボールを判断しがち。走者がいない時などは、まずしっかり止めて、球審のコールを待ち、そこから次の動作へ。これを徹底するとさらに良くなる。(日刊スポーツ評論家)