花巻東の2年生スラッガー、佐々木麟太郎内野手が、来年3月で閉鎖される岩手県営野球場での公式戦ラストマッチを「サイクル超え」の打撃で締めくくった。3回に高校通算89号、6回に90号を運んで公式戦2度目の2打席連発。初回に左翼フェンス直撃の先制適時二塁打、2回には右前適時打を放った。三塁打が出ず、サイクル安打は逃したが、5打数4安打6打点。今大会通算は15打数11安打3本塁打10打点で、チームを2連覇に導き、第1代表で東北大会(10月10日開幕、山形)に出場する。

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怪物スラッガーが、2本の「サヨナラ弾」で伝説の球場に別れを告げた。佐々木麟は3回2死一、三塁で、初球チェンジアップを左中間まで運ぶ3ランで通算89号。そして6回1死、2打席連発で節目の90本目に乗せた。カウント2-1から内角直球を捉え、高々と打ち上がった打球は、約7秒後に右翼芝生席に着弾した。「2本とも自分のスイングができたことは良かったです」。公式戦の2打席連発は、昨年5月16日の春季県大会2回戦の平舘戦以来2度目の快挙だった。

今大会が開催された岩手県営野球場は来年3月で閉鎖され、来春からは同じ盛岡市内に建設中の新球場に戦いの舞台が移る。12年夏に花巻東・大谷翔平(現エンゼルス)、19年夏に大船渡・佐々木朗希(現ロッテ)が160キロをマークするなど数々の名勝負が生まれた県営野球場。佐々木麟も父の洋監督(47)が指揮する花巻東の応援で、幼少期から何度も足を運んだ。高校生になり、同地で野球をすることに憧れた主砲は「本当にこの県営球場で実際にプレーできて幸せでした」と笑顔で振り返った。

指揮官も佐々木麟の2発をたたえた。「今日は県営での最後の試合で、1本打ってくれればと思っていたんですけど、締めくくるというか、この球場の最後に本塁打を打てたのは非常に良かったかなと思います」。来春のセンバツにつながる東北大会に第1代表での出場が決定。2年連続の秋の東北王者に向けて、絶好調の佐々木麟が、半端ない打撃を貫く。【山田愛斗】

◆高校通算本塁打ペース 通算111本塁打の清宮幸太郎(早実-日本ハム)は3年の17年5月4日、秋田中央との練習試合で90、91号を放っている。107本の山本大貴(神港学園-JR東日本)は3年の12年4月6日、兵庫県大会神戸支部大会で94号。97本の黒瀬健太(初芝橋本-ソフトバンク)は3年の15年6月7日に91、92号。94本の伊藤諒介(神港学園-法大-大阪ガス)は3年の10年7月2日に90号を打った。