ポスト・コロナ甲子園が始まる。第95回選抜高校野球大会が18日に開幕。17日は全選手そろっての開会式リハーサルが行われた。

開会式で全選手がそろえば21年夏以来3季ぶりだ。前回優勝の大阪桐蔭・前田悠伍主将(3年)は「通常開催」に感動。昨夏8強で敗れて以来の聖地で、リベンジの思いも新たにした。また、今大会からタイブレーク制度が延長10回からに早まる。戦略は変わるのか。現場の対応を聞いた。

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タイブレークが従来の延長13回から大幅に早まる。9回を終えて同点なら即、「無死一、二塁」からの試合に切り替わる。野球の根幹に関わるルール変更について、出場校に聞いた。

報徳学園(兵庫)は12日の練習試合後、相手の同意を得てタイブレークの実戦をこなした。普段から練習は重ねてきたという。

18年秋、兵庫予選の3位決定戦、社との一戦。近畿大会出場をかけた試合は延長13回へ。表の攻撃。就任2年目だった大角健二監督(42)は「取れるだけ取ろう」と声をかけたが1点どまり。悪いムードで守備に入ったが、相手のバントが投手の正面をついて併殺。無失点で逃げ切った。

同監督は「究極の状況で無死一、二塁のバントの成功率は非常に低い」と言い切る。三塁手に取らせるのが定石だが「右打者に逃げていく球を投げられたら難しい。作戦としてバントはあるけどどういう心構え、狙いでいくか」と言う。甲子園メンバーを決める上でも考慮したという。「好投手がいるチームは、あえてそういう展開に持ち込んでくるかも」とも言った。

歴代最多、甲子園通算8度優勝の大阪桐蔭・西谷浩一監督(53)は「簡単ではない準備」と引き締める。「決まったこと。同じ条件なのでルールの中で勝てるように、攻守両面の準備をする」。報徳学園と同様に練習試合後にタイブレークで試合を継続した。広陵(広島)の中井哲之監督(60)は「フィールディングがうまい投手の方がいい」と策を練る。

新ルールの皮切りになるセンバツで、各校がどんなベンチワークを見せるだろうか。【柏原誠】