春夏3度の優勝を誇る報徳学園(兵庫)は6年ぶりのセンバツ勝利を挙げた。

4番の石野蓮授(れんじゅ)外野手(3年)が弾丸ホームランで試合を決定づけた。3点リードの8回。2死三塁でこの日5回目の打席が回った。1ストライクから相手左腕が投じた内角低め直球を強振。引っ張った打球は弾丸ライナーで左翼ポール付近へ突き刺した。

「打った瞬間は入ったと思わなかった。左投手でクロスで投げてくる球もあると頭に入っていた。しっかりと反応できた。伸びてくれて良かった」

高校通算28号は、リードを5点に広げる一本となった。

3回の第2打席ではカーブを左前打。4回には2死一、二塁から右翼線への適時二塁打で追加点を挙げた。3安打3打点に「まずは初戦、良い形で勝てた」と満足の表情だった。

元阪神の葛城育郎コーチ(45)の教えを胸に結果に結びつけた。「今年初めの方の練習試合は全然調子が良くなくて、ヒットもまったく出ていなかった。練習で開きが早かった」と不調で苦しんだ。

その中で自分のポイントで打ち返すよう助言を受けて、「4番として長所を生かしていけ」との言葉も受け取った。石野は「その言葉を聞くと自分としてやることがわかる」とシンプルな考えで持ち前の長打力や勝負強さを発揮した。

憧れの甲子園に「守備に就くときも夢のよう。信じられなかった」と夢見心地。甲子園での個人大会通算本塁打記録は84年清原和博(PL学園)や92年松井秀喜(星稜)らが記録した3本。石野は「センバツの記録は3本と聞いたので、4本打って記録を更新したい」と気合十分だ。

次戦に向けて「長所の長打力や勝負強さを忘れず、今までやってきたことを出せたら」とバットでチームに貢献する。