専大松戸(千葉)の168センチ、61キロの「小さな巨人」広川陽大外野手(3年)のバットが、専大松戸初の8強入りと、持丸修一監督(74)に初の1大会2勝をプレゼントした。

2点を先制され迎えた2回。インコースのスライダーをフルスイングすると、打球は右翼ポール際へ飛び込む同点2ランに。公式戦初本塁打に、8回には1死一、二塁から貴重な6点目となる左前適時打。2安打3打点の活躍に「今まで感じたことのないような…フワフワした感じでした」と目を輝かせた。

好きな言葉は「小さな巨人」。中学時代、テレビで見たレッドソックス吉田に心を奪われた。「体が小さいのにフルスイング。打撃では大きい人に負けたくない」。チームメートも認める努力家で、この冬は1日360球の球を打ち込み、パワーアップした。

守備でも大声で両手を大きく振る。「小さいなりに大きく見せる努力です」。体は小さくても、甲子園で大きな存在感を示した。

3月27日は祖母英子さんの誕生日。前夜、電話で「緊張せずに、楽しんでやってきて」と勇気づけられた。「小さいころから応援してくれた。今度は僕がおばあちゃんを喜ばせる」と、気持ちを込め、バースデー弾をささげた。「少しは恩返しができたかな」とニッコリ笑った。【保坂淑子】

◆持丸監督が初8強 竜ケ崎一、藤代、常総学院、専大松戸と4校を甲子園に導いた持丸監督だが、甲子園8強入りは通算11度目の出場で初めて。過去にも渋谷良弥監督(日大山形-青森山田)が22度、柳沢泰典監督(学法石川)が11度など連続して8強進出を阻まれた監督はいたが、ついに壁を破った。