仙台育英(宮城)がタイブレークの末、報徳学園(兵庫)に4-5で惜敗。

82年夏、83年春優勝の池田(徳島)以来、史上5校目で東北勢初となる「夏春連覇」の夢はついえた。延長10回表、浜田大輔外野手(2年)の適時打で一時は勝ち越したが、同裏に適時失策で同点とされ、2死満塁から田中優飛投手(3年)が決勝打を許した。40年ぶりの偉業は成し遂げられなかったが、悔しさを糧に、04、05年の駒大苫小牧(南北海道)以来となる「夏連覇」に向け、再出発を図る。

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ナイターが点灯された甲子園。昨夏王者が意地を見せた。2点を追う9回2死から土壇場で同点とし、タイブレークに突入。10回1死二、三塁で、この日4打数無安打の浜田は、須江航監督(39)に言葉で背中を押された。「お前ならできる。楽しんでいけ!」。カウント0-1から「執念で打った」と、外角低めの変化球をすくい上げ、値千金の適時右前打。右腕を何度も突き上げて喜びをアピールした。

1点を守りきれば勝ち-。マウンドを託されたのが田中だった。だが、同裏無死一、二塁で登藤海優史内野手(2年)の送球失策で同点に追いつかれ、同一、三塁とサヨナラのピンチに。1死から満塁としたが、相手1番を三振に抑え、続く2番をカウント2-2に追い込んだ。勝負の1球。快音を響かせた打球が三塁手の頭を越え、決勝の左前打。思いは届かなかった。

2年ぶり出場のセンバツは8強。前回出場の21年と同じ3月29日に優勝を逃した。仁田陽翔、高橋煌稀、湯田統真(いずれも3年)からバトンを託され、敗戦投手に。田中は涙を抑えきれなかった。

「3人は三振をとれるが、自分は打たせてとるスタイル。最後のところは最高で三振、最低で内野ゴロと思ってインコースに投げたが打ち返された。最後は持ち味が出せなかった」

ひとつの目標である夏春連覇は途絶えたが、本番はこれから。背番号「18」は「夏は1番を取って帰りたい。センバツは僕が終わらせてしまったので、夏は僕が締めて優勝したい」と決意を新たにした。昨秋からエースナンバーを背負い、この日4回無失点の高橋は「チームとしても投手陣としても、この試合で味わった悔しさは絶対に忘れない。この経験が今後の試合で生きてくる」。3月29日の2時間58分は“2度目の初優勝”への大きな財産になる。【相沢孔志】

【センバツ】報徳学園、大阪桐蔭、山梨学院、広陵が4強 仙台育英の夏春連覇ならず/スコア詳細