センバツ出場校が春の初陣で快勝した。

12年ぶりの出場となった東北は、仙台に10-4で逆転勝ち。佐藤玲磨外野手(3年)が「人生初」の満塁本塁打を含む3安打7打点と躍動し、名門の4番としての責務を果たした。8強入りした仙台育英は、仙台東に11-1で5回コールド勝ち。斎藤陽(ひなた)外野手(3年)が先制の2点適時三塁打でチームに勢いをもたらした。

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佐藤玲の1発が、一気に相手を突き放した。2点リードの5回無死満塁、1ボールから真ん中高め直球を引っ張った。「打球がそんなに上がっていなかったので、入ったと思わなかった」。自身に手応えはなかったが、試合前から吹き続けていた強風が打球を後押し。左翼芝生席に着弾したことを確信すると、喜びをかみしめながらダイヤモンドを1周した。

大舞台を経て、ステップアップする。佐藤洋監督(60)はセンバツを振り返り「キャッチボールの時間などを早めにやらないと(準備が)追いつかないという経験が大きかった」。エンジョイベースボールを掲げたチームは、開幕戦で山梨学院に惜敗。大会後は士気が高まらず、指揮官は「自由をはき違えている」と指摘。佐藤玲は「洋さんも変わってきたと実感して、自分たちも変わらなきゃ」と気持ちを切り替えた。

以前よりも監督が技術指導する機会が増え、攻守交代などに時間をかけず、練習から素早く行動するように心がけてきた。打撃フォームの指導を受け、センバツ後最初の試合で結果を残した4番は「洋さんに指導してもらって魔法がかかったような感じがした。バッティングの調子が自分の中でも上がる」と感謝した。

この日は両親と祖父が応援。「おじいちゃんは小学生の頃から自分の野球につき合ってくれた。仙台市民球場が近いから来られるのはあるけど、おじいちゃんの前で打てたのは本当にうれしかった」。次戦は5月3日、同球場で東北生活文化大高戦を控える。名門の4番は、指導と声援にバットで応える。【相沢孔志】

 

○…仙台育英の斎藤陽が、一振りで結果を残した。1回無死二、三塁、センバツ後の公式戦初打席で2ボールから外角直球を流し打ち。左中間を破る2点適時三塁打で先制点を挙げた。チームはこの回、4安打5四死球を絡めた打者12人の攻撃で8得点。甲子園では3試合で13打数7安打も単打のみ。「長打を少しでも出したいと思っている中でここまで過ごしてきた。単打の延長が長打と思っているので、結果的に出せて良かった」と喜んだ。