春夏通じて初の甲子園出場を目指す常磐大高(茨城)が、練習を最大限効率化する自慢のタイムマネジメントで、群雄割拠の茨城の頂に立つ。

07年、19年と夏の県大会で決勝に進出しているが、いずれも敗れ出場を逃している。昨秋にもチャンスがあった。水戸商、プロ注目右腕・木村を擁する霞ケ浦などを下して準優勝。関東大会に出場したが、初戦で慶応(神奈川)に3-5と惜敗した。21世紀枠推薦校に選ばれたものの、初のセンバツ出場とはならなかった。

毎日の練習でメニューごとに、厳密な時間管理をしているのが特徴だ。グラウンド横にある監督室の外壁に、大きな屋外用スピーカーが取り付けられている。海老沢芳雅監督(62)が就任した15年春に「いかに限られた練習時間を有効活用するか」と導入された。練習のセッションごとに残り時間、開始と終わりの合図をアナウンスし、次の場所への移動や準備を促す。佐藤羽(つばさ)外野手(3年)は「時間に対する意識が向上し、先に考えて行動する力が身に付きました」と効果を実感。明確に残り時間が分かるからこそ、1つのプレーを大事にでき、濃密なトレーニングになっている。

アナウンスは2、3年生のマネジャー7人で順番に行っている。飯村光織(みおり)マネジャー(3年)は、「(練習の)状況を見てアナウンスをするのが大変です」と苦労もあるが、「大会の場内アナウンスをするときに緊張しなくなりました」と思いがけない人間的成長を笑顔で語った。

夏の大会に向けて主将の篠原結人内野手(3年)は、「自分の代は1年生の時から絶対に(甲子園に)行こうと話しています」とし、「夏は優勝しか見ていないです」と悲願の甲子園出場へ力を込めた。