第105回全国高校野球選手権岩手大会(7月7日開幕、きたぎんボールパークほか)の組み合わせ抽選会が22日、盛岡市内で行われた。今春県王者の花巻東は、歴代最多高校通算138本塁打の佐々木麟太郎内野手(3年)を擁し、4年ぶりの優勝を目指す。「麟太郎世代」ラストチャンスで聖地へ-。初戦は盛岡市立-花泉の勝者と12日に対戦する。

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「麟太郎世代」が最後の夏を迎える。佐々木麟、主将の千葉柚樹内野手、熊谷陸内野手(いずれも3年)らは1年時からベンチ入り。だが、21年は盛岡大付に屈して準優勝、昨年は盛岡中央・斎藤響介投手(現オリックス)を攻略できずに準決勝敗退と、夏の甲子園出場を逃してきた。第1シードで臨む今夏。組み合わせ抽選会で春の岩手王者の証しである「1番」の札を掲げた千葉は、大会本番を前に気を引き締めた。

「本当に1試合も負けられないが、とにかく自分たちがやってきたことをやるだけ。どんな状況でも最後まで諦めず、『勝ちたいんだ』という気持ちを持って、優勝を目指したい」

千葉は主将であり、打線では4番が定位置だ。春の公式戦は自身の前を打つ佐々木麟が、申告故意四球で勝負を避けられる場面もあった。大会のメイン球場となる、きたぎんボールパークは右打者に有利な風が吹き、千葉の出来が勝利のカギを握る。「4番なので、とにかく打つことが求められる。結果にこだわって勝負強いバッティングをしたい」。その上でこう心がける。「麟太郎にあまり頼りすぎず、『自分たちも』という気持ちでやっていきたい」とナインの思いを代弁する。

甲子園へのラストチャンスを必ずつかむ。入学後、22年センバツ以外は聖地にたどり着いておらず、「高校野球はこれが最後になるので、最後の節目として結果を残したい」。優勝までは5勝。花巻東が19年以来4年ぶりに岩手の夏を制すためには、千葉の活躍が欠かせない。【山田愛斗】

 

○…第2シードから連覇を目指す昨夏王者の一関学院は「激戦区」に入った。同準優勝の盛岡中央-岩泉・山田・大槌連合の勝者と12日に初戦。3回戦では盛岡大付と対戦する可能性もある。原田大和主将(3年)は「去年は夏の大会で優勝し、岩手県営(球場)で最後の優勝校になった。今年は新球場で初優勝、2連覇という目標でやっていきたい」。県内屈指の総合力を生かし、頂点をつかみ取る。

 

○…盛岡三は「打倒私学」を掲げて34年ぶりの甲子園に突き進む。3番駒井優樹内野手(3年)を軸にした切れ目のない打線、2年生エース藤枝歳三の好投が光り、今春は県3位、東北4強の好成績を収めた。田村悠人主将(3年)は「強豪私立に対しても自分たちの野球が通用するんだと分かった。挑戦者のつもりで思い切りぶつかり、自分たちの野球をしていくだけ」と力を込めた。