21年夏覇者の日大山形が酒田南に2-1の劇的サヨナラ勝ち。最速147キロのエース右腕・菅井颯投手(3年)が、再三のピンチを乗り切り、8回1失点と粘投。1-1で迎えた9回2死二塁、浅野隼人内野手(2年)が左前サヨナラ適時打を放ち、8強入りを決めた。

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何度もピンチを背負った。初回、3連続安打で1死満塁。菅井は「スライダーが良い感じに決まらなかった」。キレ、制球ともにいまひとつだったが「今日は真っすぐをコースに投げ分けて頑張ろう」と切り替え、後続を三振、二ゴロ。2、3、7回で得点圏に走者を進めたが、無失点で切り抜けた。

7回途中には右足のふくらはぎがつりかけるアクシデントがあったが、荒木準也監督(51)に「自分が行きます」と直訴し続投。8回無死二、三塁では左犠飛を許し1失点も、次打者を左直。左翼の大高海斗外野手(3年)が飛び出していた二塁走者を見逃さず併殺とし、試合の流れを渡さなかった。菅井は「守備をとても信頼している。守りから攻撃につなげるのが自分たち」と笑顔で振り返った。

堅守がサヨナラを生んだ。9回2死二塁のチャンスに浅野は「『自分が絶対に決める』といつも以上に強い気持ちで打席に入りました」と奮い立った。「真っすぐ1本を狙っていた」と3球目、高めの直球を振り抜くと打球音とともに二塁走者・土屋巧内野手(2年)がホームへ激走しヘッドスライディング。2年生コンビが執念で1点をもぎ取った。

サヨナラ勝ちで勢いづく。次戦は18日に山形城北と対戦。菅井は「自分が『0』に抑える。次は自分が最後まで投げたい」とエースの自覚十分。守備から流れをつくり、2年ぶりの夏王者に輝いてみせる。【濱本神威】

○…東北文教大山形城北 米沢工に5-1で勝利。3-0で迎えた7回、1点を返されなおも2死一、三塁のピンチで、16日が誕生日の斎藤登馬投手(3年)が登板。「あまり高ぶらないで平常心で臨みました」と、落ち着いて三ゴロに打ち取った。9回1死で一塁手に下がった斎藤は、2死二、三塁のピンチで再登板。最後の打者を投直に打ち取り、2度の火消しに成功した。