高校歴代最多通算140本塁打を誇る花巻東・佐々木麟太郎内野手(3年)が、ポジティブな声がけで8強入りを後押しした。この日は背中の張りが強く、1年春のスタメン定着以降で公式戦3度目となるベンチスタート。一塁ベンチから身を乗り出し、「みんなで甲子園行こうぜ」「守備から流れを変えるぞ」「自信を持って」「ナイスボール」などと仲間を鼓舞した。自身はタイブレークに突入した2-2の延長10回無死一、二塁で代打出場。空振り三振で1打数無安打だった。

花巻東が土俵際からよみがえった。0-2の7回無死一塁、5番北條慎治外野手(3年)が起死回生の同点2ラン。しかし、スコアが2-2から動かずにタイブレークに突入した。10回は代打・佐々木麟が三振に封じられ、後続も併殺打で無得点。絶体絶命のピンチとなったが、その裏を熊谷陸投手(3年)が無失点に踏ん張った。

そして、11回1死二、三塁、1番久慈颯大外野手(3年)が決勝の2点適時三塁打を放つなど3点を勝ち越す。その裏も熊谷が無失点。ヒヤヒヤな展開も、5-2で勝利を飾り、佐々木洋監督は「今日、麟太郎が出なくて、周り(の選手)が硬くならなければいいなと思っていたが、よく追いついてくれて、10回裏をよく守ったというところだと思う」と振り返った。

またベンチスタートとなった佐々木麟の状態について指揮官は「比較的に(背中の)張りが強く、スタメンを外さざるを得なかった。雨で(順延による)休みもあり、この先は何とかフルで出てくれれば」と期待を込めた。10回無死一、二塁の場面での代打起用は「出しどころはあそこしかなかった。(犠打で)送って出したところで歩かされる」と説明した。