<高校野球西東京大会:早大学院3-0佼成学園>◇24日◇準々決勝◇神宮球場

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

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佼成学園(西東京)の144キロ右腕林晃大投手(3年)の夏が終わった。20年独自大会以来、3年ぶりのベスト4進出をかけ挑んだ準々決勝は7回から登板。0-0で迎えた9回に3失点し、敗れた。「自分の持っているものを全て出して投げることだけを考えた。これが実力だと思います」と涙した。

大阪・堺市出身で生粋の阪神ファン。何度も通った憧れの聖地に立つべく「関東のレベルの高いチームの中で野球がしたい」と高校入学を機に上京。入学時180センチ、67キロだった身体は、食事管理とウエートトレーニングで186センチ、83キロまで成長。120キロ台だった球速も144キロになった。

昨夏5回戦の桜美林戦では2-1の9回から登板するも追いつかれ、延長10回に2点を奪われ敗れた。「自分が打たれて先輩たちの夏を終わらせてしまった。チームを勝たせるピッチングができるようにと1年間努力してきました」。エースの覚悟を決め挑んだ今夏。5回戦の桜美林戦で完封勝利を収め、昨夏のリベンジを果たした。「今年は(昨年に比べ)粘り強いピッチングができるようになった。精神的に成長できたと思います」。憧れの聖地には届かなかったが、心も体も大きく成長を遂げた3年間だった。【玉利朱音】