<高校野球神奈川大会:慶応6-5横浜>◇26日◇決勝◇横浜スタジアム

 

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

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3連覇を目指した横浜(神奈川)のプロ注目左腕・杉山遥希投手(3年)の夏は、まさかの逆転負けに終わった。

2点リードの9回、安打と失策で1死二、三塁のピンチを招くと、相手の3番渡辺千に左翼席へ逆転3ランを許した。背走する左翼手の手がフェンスに当たり、打球を見送る姿を見て「やばい」と立ち尽くした。1番の武器であるチェンジアップを運ばれた。試合終了直後は号泣。チームメートに肩を支えられた。

報道陣の前に立った杉山に涙はなかったが、ぼうぜんとした表情で「本当に悔しい。切り替えられていない」と語った。1年時から甲子園を経験し、同校OBの松坂大輔氏もつけたエースナンバーを3年間背負った。「1番を最後までつけられたのは良かったんですけど、最後に甲子園に出たかった」とうつむいた。

今後の進路については「プロに行きたいと思っている」と話し、プロ志望届を出す意向。「この悔しさをバネにして、次の舞台でも頑張っていきたいと思います」。不動のエースは悔しさを胸に、今後の成長を誓った。【玉利朱音】

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