<高校野球西東京大会:日大三3-1日大鶴ケ丘>◇29日◇決勝◇神宮球場

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

   ◇   ◇   ◇

日大鶴ケ丘(西東京)の主将の高見沢晴翔内野手(3年)は「姉のためにリベンジしたかった」とグラウンドに立ったが、雪辱を果たすことはできなかった。同校卒業生の姉優希さん(22)は、18年の西東京大会決勝で日大三に敗れた試合で、チアとして声援を送っていた。

「私の方が緊張しているかもしれないです。決勝まで来たことがうれしい。深く考えずにがんばってほしいです」と涙を浮かべながら弟にエールを送った。高見沢家は5人家族。毎日の食卓で家族仲を深めている。多いときは2時間も、たわいもない会話を続ける。「私たちの話より弟の野球の話が多いです。野球の話になるとずっと笑顔です」と家族ぐるみで晴翔の夢を応援。しだいに甲子園出場が家族の夢へと変わった。

悲願の甲子園出場とはならなかったが、高見沢は「まずは家族に3年間の感謝を伝えたいです」と感慨深げ。「大学でも野球を続けようと考えているので、これからもよろしくお願いします」。家族の支えを力に変え、白球を追い続ける。【村山玄】

【高校野球 各地のスコア・日程】