履正社がついに大阪桐蔭の壁を乗り越えた。大阪大会決勝で福田幸之介投手(3年)がライバルを3安打に封じる完封劇。打線も世代NO・1左腕の前田悠伍投手(3年)から3点を奪い、4年ぶり5度目の優勝を果たした。

夏の大阪大会で12連敗中だった天敵を粉砕。次の照準は前回出場の19年に続く全国制覇だ。

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背番号10の左腕福田が、大阪桐蔭打線を封じた。4年ぶり5度目の優勝。最後までマウンドを守り、歓喜の輪の中心になった。「前田からそんなに点数を取れないと思っていたので、理想のゲーム展開ができた」と充実感が漂った。

準決勝では、好投を続けて背番号1を勝ち取った増田壮投手(3年)が完投勝ち。決勝前には「頼むぞ」と声をかけられた。託されたバトンに福田も「自分がやってやるぞと思って投げた」と気合十分だった。

失点の気配すら感じさせない快投。唯一走者を三塁に背負った8回も0で切り抜けてほえた。3安打完封勝ちに多田晃監督(45)も「本当にいいピッチングをしてくれた。今までで最高の内容だった」。18年夏の北大阪大会では9回2死無走者から逆転負けを喫した経験もあり、「今日も不安がよぎったが、それを上回る福田の内容だった。安心感があった」と絶賛した。

センバツではエースナンバーを背負うも8回途中3失点で初戦敗退。春の大阪大会でも4回戦敗退に終わった。「甲子園に出て満足していた部分があった」。瞬発系のトレーニングを増やし、最速は150キロの大台に到達。この日の朝は伸びのある球が投げられるようにと餅を食べた。磨きをかけた直球で相手を圧倒した。

ライバルにも投げ勝った。大阪桐蔭・前田は1年生から意識した同じ大阪のサウスポー。家で動画を見て、違いを探して追いつこうと必死だった。最後の夏に決勝で戦い、勝った。「直接対決して倒すのが目標だったので実現して良かった」と笑った。

前夜は9回のマウンドで大阪桐蔭を倒す夢を見たといい「正夢になって最高」と白い歯がこぼれた。過去の大阪決勝では4戦全敗だったライバルとの対決。左腕の好投が“5度目の正直”へ導いた。【林亮佑】

◆履正社 1922年(大11)に大阪福島商として創立の私立校。83年から現校名。生徒数1473人(女子537人)。野球部も22年創部で部員数81人。甲子園は春10度、夏5度目。19年夏に優勝。主な卒業生にオリックスT-岡田、ヤクルト山田哲人。所在地は豊中市長興寺南4の3の19。松本透校長。

◆福田幸之介(ふくだ・こうのすけ)2005年(平17)8月11日生まれ、大阪市出身。大隅東小学校ではニューヤンキース、瑞光中では大阪柴島ボーイズに所属。履正社では1年秋からベンチ入り。今春センバツでは背番号1で先発した。最速150キロ。遠投100メートル。180センチ、83キロ。左投げ左打ち。