沖縄尚学の最速147キロエース東恩納蒼投手(3年)が、甲子園で「清原」の大歓声の“圧”に押された。2-0の6回無死走者なし。慶応の代打は「清原」。場内アナウンスとともに、聖地は「うお~」と三塁側アルプスのみならず、全体がどよめき沸いた。「今までにないくらいの声援だった」と未知のマウンド上となった。

その清原は投ゴロに封じたが、1死から四球を含む長短5安打で大量6失点。比嘉監督は「相手の声援を口ずさむくらいの余裕で」と試合前日に助言しており、東恩納も「声援を楽しみたい」と味方にするぐらいのつもりだった。だが結果的に声援にのみ込まれた形となり、5回1/3を8安打6失点(自責4)。5回までは3者連続を含む7奪三振で無失点だったが、左翼の守備へ回った。「自分の力不足。相手が上でした」と言い訳は一切なかった。

最終回の打席では中飛。最後の打者となったが、目に涙はなかった。「やり切れた。最高の場所で終わることができた」と晴れ晴れとした表情を浮かべた。今後については「大学に進学して成長して、プロで活躍できる選手になりたい」ときっぱり。新たな目標を掲げ、甲子園を後にした。【佐藤究】