“横からマリコ”が快投を演じた。名取北が東北学院に6-2で勝利し、5年ぶりに秋の県大会初戦を突破した。背番号6右腕・鞠子侑(まりこ・たすく)主将(2年)が、9回2失点完投と2安打1打点でチームを引っ張った。2年春に上手から横手に転向し、安定したフォームで112球を投げ込んだ。仙台一、聖和学園もそれぞれ2回戦に駒を進めた。

  ◇  ◇  ◇

「3番投手」で出場の鞠子が、投打で東北学院に立ちはだかった。横手から直球とカーブを主体に投げ込み、的を絞らせない投球で5回を終えて2安打無失点。バットでは1点リードの6回1死二塁、変化球に絞り、初球の高めカーブを中堅へ適時三塁打。「僅差だったので自分で(走者を)かえせて良かった」と笑った。さらに後続の遊撃適時内野安打で1点を追加し、リードを3点に広げた。

得点直後の同裏2死二塁で中前適時打を浴び、なお一、二塁。だが、動揺はなかった。「(自チームの)打者陣も(相手投手を)捉えられていたので、1点で抑えきれば大丈夫」。相手6番を三振に抑え、最少失点で切り抜けた。チームは終盤2イニングに3点を挙げ、鞠子が9回7安打2失点の完投で、そのリードを守り切った。「いつも通り調子よく投げられた。真っすぐで押していこうと思って投げたら、守備が助けてくれた」と感謝した。

2年春から横手投げになり、慣れるまでは「投げ込むことに時間かかった」という。それでも月日がたち、試合前日の練習を見た佐藤純二監督(49)は「ボール自体は非常に良かった。勝つなら完投するしかない」と初戦を託した。榊良輔部長(35)から変化球の指導を受けた鞠子は「今日、使っていたカーブもうまく決まるようになった」と投手としての成長を実感する。上から横に変わったマリコ。安定感が増したフォームで失点を防ぎ、上位打線でも活躍する。【相沢孔志】

○…仙台一は14安打11得点で泉に11-2と8回コールド勝ち。小川郁夢主将(2年)が0-0の1回無死一、三塁で先制2点適時三塁打。4点リードの6回は適時二塁打でダメを押し、「追加点がほしい場面だった。1本が出て本当に良かった」と喜んだ。8回は左前打で3安打3打点と3番の役目を果たした。千葉厚監督(45)は「ファーストスイングから自分のバッティングをしてくれた」と評価した。

○…聖和学園は集中打で柴田に5-1で快勝した。1点を追う5回2死から4連打で逆転。なおも2死二塁で鈴木健人外野手(2年)が「自分もつなぐ思いで打席に立った」と中前適時打。7回1死二、三塁では、ダメ押しの左中間2点適時二塁打を放つなど3安打3打点の活躍。今夏は3回戦で仙台城南にコールド負け。再出発の今大会は「一戦必勝で勝ってセンバツ出場」と力を込めた。