豊川(愛知・東海)が延長11回、逆転サヨナラ勝ちを収めた。高校通算13本塁打の注目打者、モイセエフ・ニキータ外野手(2年)が実力の片りんを示した。6回の第3打席。それまでついていけなかったスライダーが浮いたところを逃さず、右翼線に痛烈な二塁打。0-4から反撃の合図となる1点を奪った。

「なかなか点を取れず、人も多くて県大会と空気が違いました。前の打席までスライダーに合っていなかったので絶対また来ると思っていました」。3番打者の一打から1点差まで迫った。2点を追う9回も意地を見せた。「同点ではなく、自分で決めてやろうという強い気持ちでした」。1点を返し、なお1死一、三塁からしぶとく右犠飛を放ち延長戦に持ち込んだ。

両親がロシア出身。父と同じ空手を習っていたが小4から野球の道へ。家ではロシア語も話すが、日本語のネーティブ。走攻守そろった外野手として来秋のプロ入りを目指している。

次は青森山田と星稜(石川)の勝者が相手。3度も追いつき、劇的に全国初戦を制したモイセエフは「次もレベルが高い投手がいるので1打席目から対応できるようにしたいです」と楽しそうに笑った。【柏原誠】

◆モイセエフ・ニキータ 2006年(平18)11月29日生まれ、愛知県刈谷市出身。阿久比町立東部小4年時に東海ボーイズで野球を始め、阿久比中では愛知衣浦シニアでプレー。高校1年秋から外野レギュラー。目標とする選手はソフトバンク柳田悠岐。180センチ、82キロ。左投げ左打ち。両親と兄、弟2人。

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