コロナ禍で夏の甲子園大会が中止となった20年当時の高校球児が集結して「あの夏を取り戻せ 全国元高校球児野球大会」が29日に開幕。

甲子園で行われた特別試合の第2試合で、関大北陽OBは、当時背番号19をつけた小豆野隼伍投手(22=追手門学院大)が登板し、3回無失点に抑えた。時間制のため試合は6回まで。右腕は「時間制で1イニング1人のところ、自分だけ3回投げられて人一倍楽しめました」と感無量の様子だった。

関大北陽3年だった20年夏は大阪の独自大会を戦った。準決勝を突破したが、雨天中止で日程変更が相次いだため、履正社との決勝は行われなかった。「自分たちの集大成を見せられる場面がなくなったので、そのまま大学野球でぶつけようと」。小豆野は現在、追手門学院大の3年で阪神大学野球の2部リーグを戦っている。

今年は関大北陽の大先輩で阪神岡田彰布監督(66)がリーグ制覇と日本一を成し遂げた。くしくも、同じ年に聖地で「あの夏」を取り戻すことができた。「運命があるかもしれないですね。あの方が北陽からすごい成績を残して、プロで活躍して、今、監督で縁もあって自分たちも甲子園に行けて…」。小豆野は不思議な巡り合わせを感じ、“岡田先輩”への言葉も残した。「たまに、僕らの公式戦に顔を出してくださっていたんで、最後の夏に、直接集大成を甲子園でお見せすることができなかったんで、こういう形でできてよかった」。【中島麗】