<高校野球福岡大会:自由ケ丘4-2福岡>◇11日◇4回戦◇光陵グリーンスタジアム
最後まで勝利を信じたが、あと1歩及ばなかった。畑尾はゲームセットの瞬間、懸命に振り続けた太鼓のバチを静かに置いた。
「自分たちにできることは応援しかなかった。やり切れたけど、もっと勝って応援したかった」
中学時代は週1、2回の習い事で水泳に励んだが、本格的な野球とほぼ無縁。きっかけは中学2年の夏だった。「新聞に掲載されていて、本当に感動した」。当時はコロナ禍で夏の甲子園が中止。代替え措置として各地区で独自大会が行われた。福岡で優勝したのが同校だった。「すごくかっこよくて。自分も福岡高校で野球がしたい」と一大決心。猛勉強の末、県内屈指の公立進学校に合格した。
家族は心配したが、意思は固かった。「野球を本気でやりたい」。今春に背番号19で初めてベンチ入りしたが、最後の夏はメンバー外。公式戦登板は1度もなかったが、夢見た「福高」ユニホームで、チームのために太鼓役を買って出た。
高校2年半を振り返り、「家族、先生方、同級生のみんなが…。不安でいっぱいだったんですけど、技術を教えてくれたり、優しく接してくれた。かけがえのない仲間ができ、ここまで1つのことに熱中したことがなかった。今は本当に感謝でいっぱいです」。懸命にやり切った分だけ、涙がほおを伝った。【佐藤究】

