試合後のインタビュールームに、青春の尊さが詰まっていた3回戦の第1試合だった。

敗退が決まり、取材対応するインタビュールームでカバンを置いた広陵ナイン。部屋の隅で、土居湊大(そうた)内野手(3年)と松村悠叶(はると)内野手(3年)が、大粒の涙を流して抱擁していた。

感動と悔しさが入り交じるような声を漏らしながら、互いに相手の肩に頭を預けあい、抱きついていた。

「見たら、泣いてしまいますね」

松村の親友・枡岡憲志外野手(3年)は、2人の抱擁を一瞬目にしたものの、直視できない愛称「まっつん」こと松村の姿に、部屋の入り口付近で体を背けていた。

普段から、今夏主力の土井と枡岡、プロ注目の只石貫太捕手(3年)と松村の4人一組で、グラウンド内外で行動をともにしてきた。この試合、松村が甲子園初スタメン出場。「3番一塁」松村、「4番捕手」只石、「5番左翼」枡岡、「6番三塁」土居。夢の舞台で、仲良し4人組が中軸にそろい踏みを果たした。6回と8回、東海大相模の好投手に3番松村から4人で立ち向かった。逆転劇とはならなかったが、最大限、奮闘した。

試合後のインタビュールームで、枡岡は語りだした。

「松村が、3番で出られてうれしくて…。最初夏もベンチに入るかわからない子が、最後自力で頑張ってスタメンになっていて…」

今春センバツ。松村は背番号20で初のベンチ入りを果たし、必死に声をからしていた。夏に向けては打撃の精度を高めてきたのを、枡岡は誰よりも知っていた。

「一緒に練習してきて、一番練習していたんですよ、松村が」

今夏広島大会では代打で6打数5安打、打率8割3分3厘をマーク。甲子園では、熊本工との2回戦の8回、甲子園初安打を放っていた。

グラウンドでの練習、寮での寝食、修学旅行、食べ歩きを楽しんだ宮島での遠足-。4人に待ち受けた最後の思い出は、甲子園球場にあった。「また来年、4人集めて甲子園に来ます」。次は、聖地で後輩たちの勇姿を、4人で見届ける。【中島麗】

【甲子園ライブ速報】はこちら>>