知的障害のある生徒が通う特別支援学校として昨夏から地方大会に単独出場している青鳥特別支援が、1次予選で甲子園春夏13回出場の二松学舎大付と対戦。5回コールドで大敗したが、久保田浩司監督(59)は「何とか試合は成立して戦えたことは、新たな歴史の一歩」と、選手たちの成長を評価した。
ビックリ戦法で、強豪・二松学舎大付と勝負した。守備についた青鳥特別支援の外野は4人!? 三塁で先発出場のクマガイ・クリストファー外野手(2年)が、左翼に下がり、他の外野手が少しずつ右翼側に詰めて守る外野4人戦法。三塁はガラ空きでも遊撃手がカバーに入り、外野に飛んだ打球を重視した守りに徹した。
久保田監督は「強打者が多い。外野を4人で守り、フライをいかにしてアウトにするか。それに伴い内野が減るのでそのカバリングを含めて。1週間、徹底的に練習をして今日の試合に臨んだ」と、説明。主将の式守優太外野手(2年)は「最初はビックリしましたが、守備範囲が狭く前に突っ込んでもカバーがしてくれる選手がいるので、思い切って前に突っ込んでいけました」と、外野手4人で力を合わせ、外野に飛んだ打球12本中、4本をしっかりアウトに仕留めた。昨夏から単独出場し、これまでで最少失点の18失点。久保田監督は「何もしないままでは、強豪チームとは試合にならない。外野4人制は9人でやれることを考えた結果。最少失点に抑えられた1つの成果かな」と、してやったりだ。
正々堂々の戦いが、ビックリ戦法を成立させた。二松学舎大付属も、ガラ空きの三塁を狙った単打や三盗も考えられたが、真っ向勝負した。市原勝人監督(60)は「情をかけたわけじゃなく、打っていけ、と。向こうの一生懸命な姿勢に対して、感じたままのプレーをしました」と、強打で勝負。久保田監督も「さすが王者のチームだな、と。試合運びだったと思います」と、脱帽した。
強豪相手でも、ひるむことはなかった。抽選会で二松学舎大付戦のクジを引いた式守は「半分は不安もありましたが、とてもうれしかった。甲子園出場校と試合ができるなんてなかなかない」と、やる気満々。選手たちも口々に「得点するぞ!」「ヒットを打つぞ!」と、自分たちで練習メニューを相談。バッティングマシンのスピードを130キロに設定するなど、前向きに練習に取り組み、試合に備えた。チームで唯一、安打を打った岩本大志内野手(2年)は「打った球は真っすぐ。初球からどんどん振っていった結果。いい経験になりました」と、手応えをつかんだ。
強豪チームの力を肌で感じ、新たな目標が生まれた。これまではヒットを打つ、1点挙げる、が目標だった選手たちが「もっと頑張れば自分たちもできる」と成功体験を重ね自信をつけた。「自分たちも甲子園に出たいと思いました」と岩本。大きな可能性を胸に、来年の夏へ向かう。

