今春センバツ出場の横浜が、桐光学園を破り、2年連続29度目の春季関東大会(5月16日開幕、千葉)出場を決めた。

ドラフト候補に挙がる最速154キロ右腕エース、織田翔希投手(3年)が前半は制球に苦しみ2回に2失点も、140キロ後半の力強い直球を軸に、粘り強く投げ、11安打6失点で完投した。

「新しい織田を見せろ!」。5回、グラウンド整備が終わった後、マウンドに向かう織田にチームメートが声をかけた。織田は「今日初めて言われました。多分前半、アップアップになっていつも通りの投球ができなかった。そこを乗り越えることが『新しい織田』を見せることなんだと思いました」。村田浩明監督(39)に、何度も交代の相談を持ちかけられたが「代わらないです」と、かたくなに続投を志願した。自分で招いたピンチ。「エースとして、何があっても最後まで投げ切らないといけないと思ってました」。その責任を全うした。

真っすぐ狙いの相手打線に対し、緩急をつけた。「ヒットを多く打たれてそこで自分が力んでフォアボールを出してしまった」と、4四球も、ここぞの場面では力のある真っすぐで空振りを奪い、13奪三振。ファウルで粘られ、最後まで投げきり、球数は「今までで初めて」という186球も同点は許さなかった。

苦しい投球でも、逃げずに立ち向かう姿はエースの存在感を増している。村田監督は「織田がブレるとチームもブレる。織田の姿を見て他の投手も奮起する。夏までに、“織田翔希”という新しい人間を作るために、今、真正面からぶつかって、その壁を越えている最中なんです」。夏、本物の力を手に入れるためには、通らなければいけない道。苦しみながらも、前に進む。

結果よりも、内容を追い続ける。「今日はほとんど反省です。正直、投げ切ったことよりも、入りの弱さが目に見えて課題として出た。チームに影響を与える部分だと思うので、真摯(しんし)に受け止めて、しっかりと改善したい」と織田。勝利にも笑顔なく、前を向いた。