昨年6月3日に89歳で亡くなった長嶋茂雄さんが、佐倉一高在籍時に、熊谷高戦で放った伝説の本塁打がある。長嶋さんの一周忌にあわせた73年越しの両校の対決に、打たれた熊谷OBの福島郁夫さん(89)が来訪した。

1953年8月、高校野球南関東大会1回戦。熊谷が3点をリードして迎えた6回、福島さんが投じた直球を完璧に捉え、のちの「ミスター」の打球はバックスクリーン下へ飛び込んだ。これをきっかけに名が知れ渡った、長嶋さんの礎といえる本塁打だ。

当時以来73年ぶりとなる両校の顔合わせは、長嶋茂雄氏一周忌追悼試合兼佐倉高校野球部創部130周年記念試合として企画され、福島さんは埼玉から観戦のため佐倉市を訪れた。

福島さんは「センターが捕るかと思った。それぐらいのライナーだった。見事に打たれた」と振り返る。今でも「やっぱりミスターはすごかった」と鮮烈な印象を残す対戦となった。

その後、福島さんは東映に入団。プロの舞台で対戦することはなかったが、引退後偶然再会したとき「君のボールは速かったねえ」と言われたことが今でも自信になっている。

長嶋さんのことを「神様。私は誇りに思っている」という。人生に強く刻まれた一戦と同じカードに挑む後輩たちを、スタンドから温かく見守った。