<高校野球・秋季東北大会:光星学院7-1一関学院>◇最終日◇14日◇名取スポーツパーク愛島球場◇決勝

 光星学院(青森)が12年ぶり2度目の優勝を果たし、初の明治神宮野球大会(11月15日開幕)出場を決めた。先発の六埜(ろくの)雅司投手(2年)が7回途中無失点と好投し、ともに来春センバツ出場を確実にしている一関学院(岩手)を7-1で撃破。エリート軍団が金沢成奉監督(41)の情熱で1つになり、みちのくNO・1の座をつかんだ。

 校歌を歌うナインを、金沢監督はじっと見詰めていた。「ここまで来られるチームではなかった。こんなに実るとは、思いませんでした」。苦難を乗り越えてつかんだ栄冠を、しみじみと実感した。

 優勝のかかったマウンドを託されたのが、左腕六埜だった。次々と凡打の山を築き4回まで無安打投球。昨オフ、OBの巨人坂本から言われた「攻めの気持ちを忘れるな」の言葉を胸に刻み、積極的にストライクゾーンを攻めた。7回無死一塁で降板し胴上げ投手こそエース下沖勇樹(2年)に譲ったが、4安打5奪三振の無四球と堂々の内容。今夏県大会後、エース下沖と小林寛(2年)が右ひじ痛を発症と、主力が故障する新チームの一大事に急成長したのが、今大会3試合で先発した六埜だった。

 大阪・東住吉中では全国大会とは無縁だった六埜。「自分を高めたい」と、岩手・福岡中で日本一に輝いた下沖と、大阪桐蔭など強豪校からの誘いを断って入学した同じ大阪出身の小林の存在に引かれ、地元を離れた。「下沖たちがいたから、ここまでできた」と良きライバルに感謝した。

 「彼がいたから、ここまで来られた」と金沢監督。チーム全体の成長を実感する出来事もあった。12日の聖光学院戦。小野寺翼一塁手(2年)が左ほおに死球を受けて退場した。同監督はその試合後、小野寺が病院に向かう際の「絶対に勝ってください」という言葉を思い出し、報道陣の前で涙した。「あんなに、おとなしい子が…。尻をたたかなければできなかった子たちが、自分から勝とうという気持ちを持ってくれた」と振り返った。

 「少しでも全国レベルで試合をして、センバツに行きたかった」と六埜。実績のある選手も、そうでない選手も金沢監督の下で一丸となったチームが、神宮、そして甲子園に挑む。【由本裕貴】