スモールベースボールで4強奪取だ。第83回選抜高校野球大会(甲子園)で48年ぶりのベスト8に進出した北海(北海道)が29日、明日31日午前11時開始の準々決勝、九州国際大付(福岡)戦に向け、兵庫・尼崎市内で練習した。チームは足技、小技を駆使した攻撃が特長だが、特に9番打者の磯田功洋中堅手(3年)が甲子園2試合で4打数3安打、犠打2、盗塁1と勝利に貢献。磯田らのコツコツ野球で、1回戦4本塁打の難敵に対抗する。

 優勝候補の天理を前日28日に下した北海ナインは、自分たちの形を崩さず4強入りを狙う。29日、兵庫・尼崎市内で約2時間、汗を流した。フリー打撃では快音を響かせ、スモールベースボールの象徴となっている9番磯田も好調維持をアピール。「天理戦では緊張せずに、自分のプレーができました」と笑顔が絶えなかった。

 甲子園で持ち味を発揮している。天理戦は2安打、1盗塁、1犠打。特に5回の意表を突くセーフティーバントからの二盗は真骨頂だった。「バントは警戒していなかったのでとっさに。盗塁は投手のクセをつかみ、いいスタートが切れました」。五感を働かせ、状況や相手動きを感知する。この日もしっかり投手のけん制球を観察して練習をこなした。

 磯田に象徴されるように、北海は長打よりは小技で勝ち進んできた。公式戦の犠打数は銭谷恒毅一塁手、多間泰介三塁手(ともに3年)が7個、磯田5個。森貴弘遊撃手(3年)が4個と続く。盗塁でも銭谷、磯田がともに3個、石川圭太左翼手、川越誠司右翼手(ともに3年)が2個。九州国際大付が、公式戦本塁打14本と長打攻勢を見せているのとは好対照だ。

 平川敦監督(39)は「全体的に犠打はしっかりと決められるようになった。磯田はここにきて、成長しました。あとはムラがないようになればいいです」と、磯田を含めチーム本来の手堅い野球に手応えを感じている。

 磯田の前には打撃センスの高い玉熊将一投手(2年)がおり、後ろには先頭打者で好調の森がいる。準優勝した63年以来のベスト4進出へ、小技の積み重ねが攻撃のテーマになる。磯田は「次はまた好投手が相手、塁に出たらリードをして投手を揺さぶりたい」と、161センチの小柄な体に闘志をみなぎらせた。【中尾猛】

 ◆北海道勢の福岡勢との甲子園対戦成績

 センバツでは過去4度対戦し、昨年の北照が2回戦で自由ケ丘を下し、現在4連勝中。初対戦は83年の駒大岩見沢で、久留米商に3-1で快勝している。夏の南北代表校は通算2勝5敗。北海は夏だけ2度の対戦があり、北海中時代の37年は福岡工に2-1で勝利。62年の準々決勝では久留米商に2-4で敗れている。