<高校野球鹿児島大会:神村学園2-0頴娃>◇18日◇3回戦◇県立鴨池球場

 3季連続甲子園出場を目指す神村学園がヒヤヒヤの勝利で、頴娃(えい)を破り4回戦に進出した。1点リードの7回に同点に追いつかれたと思われたが、中園史剛三塁手(3年)が、相手走者が三塁ベースを踏まずにホームに向かったとアピール。これが認められ、得点は取り消された。このプレーに助けられ2-0で逃げ切った。

 まさに九死に一生を得た。神村学園が頴娃を接戦で破り4回戦進出だ。相手投手の軟投にはまり、中盤までリードはわずか1点。勝負の分かれ目は7回の守りだった。

 1死一、二塁。頴娃の5番迫田徒夢内野手(3年)の右前打で、二塁走者が一気に生還した。同点に追いついた頴娃はベンチもスタンドも一気に盛り上がった。そしてなおも、1死一、三塁。そのとき、審判は生還した走者のアウトを宣告。得点も取り消した。三塁手・中園が、ボールを持っていた二塁手にボールを要求し、三塁ベースを踏んでいた。「走者が三塁を踏んでいない」というアピールが認められた形となった。

 中園

 走者は三塁を踏んでいなかった。いつも走者の走路は確認しています。練習試合では同じようにアピールして認められたことがあります。

 中園は、甲子園で審判経験がある山本常夫監督(51)から、常に走者がベースを踏んでいるか確認するよう指導されてきた。これで、流れは神村学園へ。7回を無失点で切り抜けると、8回、4番柿沢貴裕外野手(3年)の左前適時打で1点を追加。勝利を確実にした。山本監督は「あんなところであんなプレーが出るとは。中園の超ファインプレーです。あそこで逆転されたらはねのけられたかどうか」と絶賛。相手の押せ押せムードを、一瞬で吹き飛ばすプレーだった。

 失点が幻となり、完封勝利を挙げた平藪樹一郎投手(3年)は「今日は調子が良くなかった。7回はやられたと思いました。野手に助けられました」と感謝せずにはいられない。秋、春と九州大会を連覇し、九州で負けなしの神村学園がギリギリまで追い詰められ、それをはねのけた。「こういういつかヤマあると思っていた。1度は死んだので、ここからまた上を目指します」と山本監督。1つの試練を越え、3季連続甲子園へ1歩近づいた。【前田泰子】