<高校野球青森大会:名久井農16-9八戸高専>◇15日◇2回戦◇八戸市長根公園野球場

 名久井農が7回コールドで八戸高専を破った。今春に軟式から硬式に転部したばかりだが、部員10人で夏の大会初勝利を挙げた。

 名久井農の見付優(3年)は7回裏、捕手から投手に回った。八戸高専打線を3人で仕留めて力強くガッツポーズ。ホームに整列したナインは大声で校歌を歌うと内野席へダッシュし、約240人の全校応援団にあいさつ。学校創立70周年に花を添える勝利に、大きな拍手と歓声が起こった。

 名久井農は戦後の48年から52年まで5年間、硬式で青森大会に出場したが白星はなかった。翌53年から軟式に転部。62年ぶりにこの春、硬式に復帰した。同じ南部町にあり、今年度末で閉校する南部工に硬式ボールをプレゼントされ、一緒に練習もしてくれた。

 その南部工は前日14日、弘前中央に敗退。見付優の双子の弟、南部工の稔一塁手(3年)は同日夜、自宅で「(勝利を)頼むぞ。ミスするな」と激励。主将の優は緊張するナインに常に大きな声を掛け、鼓舞し続けた。チームは15安打で16得点。60年余りのブランクをまたいで念願の夏初勝利を飾った。

 「まさかこんな展開になるとは」と三上暁郎監督(28)は驚いた。組み合わせ決定前の6月15日、八戸高専と練習試合をして13-1で勝利。だが相手のエース石岡和弥(3年)は登板しなかった。対戦を想定して打撃練習を重ねた成果で初回にいきなり4安打で3点先制。4回で11安打を浴びせマウンドから降ろした。

 「軟式では全校応援はなかった。うれしかった」と見付。三上監督は「ナインは硬式にも慣れ、心の部分でもだいぶ成長した」と目を細めた。【北村宏平】

 ◆名久井農

 1944年(昭19)創立の県立校。生物生産科、園芸科学科、環境システム科があり、生徒数は243人(女子105人)。男子駅伝では94年まで全国大会16度出場。野球部は軟式の全国高校選手権県予選準優勝など。所在地は青森県南部町下名久井下諏訪平1。高谷正校長。