<高校野球大阪大会:大阪桐蔭9-4大冠>◇22日◇3回戦◇舞洲

 思わぬアクシデントも頼れる大阪桐蔭の副主将・香月一也内野手(3年)が救った。波乱はいきなり1回裏に起こった。先頭の中村誠主将(3年)に投じられた5球目が顔面を直撃した。うずくまって動けなくなった中村はそのまま担架で運ばれ、救急搬送。鼻骨骨折でいきなり精神的支柱を失った大阪桐蔭は1点リードの4回表、大冠に勝ち越しを許してしまった。

 3連覇を目指す強豪のベンチに、不穏な雰囲気が漂った。西谷浩一監督(44)も「主将を欠いて、選手も『何とかしないといけない』という動揺があったかも」。しかし、動揺を力に変えたのが、香月だった。5回に入る前「みんな切り替えていこう」と積極的に声をかけた。副主将としての責任感からだった。5回裏、香月の一言でチームは息を吹き返し、一挙3得点で勝ち越しに成功。完全に流れを取り戻した。

 この日、香月は4安打1打点と大暴れ。「誠(中村)が出られないなら、自分がグラウンドで引っ張る」。副主将の強い思いは、中村との約束を守るためでもあった。「絶対甲子園行こな」。常日ごろから口癖のように2人で話していた言葉を現実にするためにも、負けるわけにはいかなかった。「誠が帰ってくるまで、勝たないと」。頼れる副主将がいる限り、3連覇の夢は現実へ近づくはずだ。【小杉舞】