<高校野球東千葉大会:東海大望洋1-0銚子商>◇21日◇決勝

 銚子商(東千葉)斉藤之将(ゆきのぶ)外野手(3年)の親子3代甲子園の夢がついえた。準々決勝の東海大望洋戦で0-1で敗退した。1点リードされて迎えた9回表2死二、三塁。ここで斉藤が打席だった。ベンチから打席に向かう際、父俊之監督(49)に呼び止められた。「3年間頑張ってきたんだからしっかり振ってきなさい」。試合中初めて見る監督の笑顔に送り出された。打席に入る前には「絶対甲子園に行くので力をください」と祖父一之元監督(享年60)にも祈った。しかし、初球の低めカーブを打たされて二ゴロ、最後の打者になった。

 「監督さんを甲子園に連れて行きたかった。自分が打っていれば」。その先は言葉にならなかった。家でも「監督さん」と呼んだ。帽子の裏には「3年間は親子じゃない」と書いた。選手、監督として甲子園に出場した俊之監督の息子として、全国制覇した一之元監督の孫として常に大きな重圧があった。それでも後悔はない。「監督さんと一緒に野球ができて良かった」と目を赤くしていた。