<高校野球西東京大会>◇22日◇準々決勝

 早大学院が56年ぶりとなるベスト4に進出した。エース千葉亮介投手(3年)が左腕からの変化球を駆使して東亜学園を翻弄(ほんろう)、スクイズで挙げた1点を守り抜き、1-0で逃げ切った。24日の準決勝では早実に挑みかかる。

 早大のユニホームが神宮球場で跳ねた。東京6大学リーグではなく、西東京大会の4強を決めた早大学院ナインだった。その中心に千葉がいた。最後の打者を投ゴロに打ち取るとガッツポーズ。「正直、これだけ投げられるとは思ってなくて」。偏差値70を超える進学校のエースは、ホッとした表情を浮かべた。

 9回を被安打7ながら、無四球無失点。1人で投げ抜いた。速球は最速126キロ。そこにヤクルト石川を手本にしたスクリューボールを織り交ぜ、東亜学園を手玉に取った。5回裏に味方がスクイズで奪った1点を守り抜いた。

 実は木田茂監督(53)の温情がなければ、千葉の先発はなかった。午前11時半とされた集合時間に30分も遅刻した。ペナルティーとして、先発はく奪も十分にあり得た。木田監督は、そうしなかった理由を「涙を浮かべてお願いされたから許した」と説明した。

 171センチ、60キロの体が3回戦から4試合36イニングを1人で投げ抜いている。5回戦の片倉戦も完封だった。昨冬に同監督の紹介で松戸国際(千葉)を訪れ、1週間にわたり、投球術やトレーニング法を学んだ。冬場に行った異例の「出げいこ」が今、小さなエースの快投につながっている。

 早大学院の過去の最高成績は54年春の都準優勝だ。決勝の相手は早実だった。木田監督は「ウチが直系、都の西北はウチ。一発食ってやろうという気持ち」と闘志をむき出しにした。岸政孝主将(3年)は「(共学になった)相手の応援は女子もいるけど、ウチは男子校。チームワークは負けない」と意気込む。千葉も「ここまで来たら甲子園を狙うしかない」と言い切った。【木南友輔】