マイク・トラウト外野手(31)と大谷翔平投手(28)というメジャーの2大スターを抱えながら8年間もポストシーズンから遠ざかっているエンゼルスだが、果たして今季は悲願のポストシーズン進出を果たせるのか。MLBネットワークのジョン・モロシ記者は「彼らは恐らくMLBのどのチームよりも大きなプレッシャーを背負っている。開幕からいいスタート、いや最高のスタートを切らなければならない。もしそれを実現できなければ、5月からオオタニのうわさが噴出し始めるからだ。球団の身売り中、オオタニが契約最終年であることを考えれば、彼はチームが失速した場合のトレード候補になる。トレード期限前のオオタニ獲得競争はすごいことになる」と指摘していた。

エンゼルスは今オフ、コツコツと堅実な補強を重ねてきた。昨季29本塁打のハンター・レンフロー外野手(30)、好打のジオ・ウルシェラ内野手(31)をトレードで獲得し、FAの先発左腕タイラー・アンダーソン投手(33)、ブレット・フィリップス外野手(28)、ブランドン・ドゥルーリー内野手(30)らを次々と獲得。懸案だったリリーフ投手陣も通算25セーブの右腕カルロス・エステバン投手(30)と契約し、過去に実績のある救援投手を数多くマイナー契約で獲得している。

米メディアやファンの間では、これらの補強はなかなか好評で「ポストシーズン進出のダークホース」との声も出ている。

米データ分析サイト「ベースボール・プロスペクタス」などで執筆しているブライアン・メネンデス記者は「エンゼルスの小さな補強の数々が、ついに大きな成功を呼び込むことになるかもしれない」のタイトルで記事を書いている。その分析によると「エンゼルスが昨季苦戦した要因の1つで多くの人が見逃している点は、明らかに劣る選手に出場機会を与え過ぎたこと。マイナスWARでは両リーグでパイレーツ、アスレチックス、レッズに次いで悪い数字で、それによって昨季12.0に相当する勝ち数を損したことになる」と解説し「エンゼルスが“スーパースターとその他大勢”の典型例とするなら、その他大勢の選手たちが長年、スーパースターの足を引っ張ってきた」と指摘している。だが今季はそれを脱却する補強ができた。映画に例えるなら、主役のスーパースターと端役ばかりだったものが、味のある実力派の脇役陣で固められたということだろうか。その通りなら、今季には期待したくなる。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)