2021年のメジャーの公式戦が、無事に終了しました。コロナ禍の昨季は60試合に短縮されましたが、今季は例年通りに162試合を予定。ただ、半年前の開幕の時点では、本当に全試合を実施できるかどうかはかなり不透明でした。

実際、4月の開幕当初は、昨季までと同じように、ほとんどの球場が入場者を制限し、選手や関係者もベンチやブルペン内でのマスク着用が義務付けられていました。高齢の監督やコーチ、病歴のある選手からは、不安視する声が伝わってくることもありました。

その一方で、ヤンキースタジアム(ニューヨーク)やTモバイルパーク(シアトル)では、各自治体と協力して球場敷地内にワクチン接種スペースを設置するなど、球界全体でコロナ対策を推進してきました。その結果、機構側と選手会は、摂取率が85%を超えた球団から徐々に行動規制を緩和するなど、主体的な対応に取り組みました。

シーズン途中には、ヤンキースやレッドソックスなどで集団感染が広がった時期もありましたが、コロナの影響で中止になったのは9試合。昨年が45試合だったことからも、ワクチン接種と各球団の対策が一定の効果を示したということでしょう。10月3日の今季最終戦では、ポストシーズン進出がかかっていたこともあり、ヤンキースタジアム、Tモバイルパークとも4万人を超えるファンが詰め掛けるなど、閑散としていた開幕当時には想像できなかった光景が広がり、スタジアム特有の熱気に包まれていました。

依然として世界的なコロナ禍が終息したわけではなく、まだまだ安心できませんし、今後も入念な対策は必要です。大観衆が訪れたデンバーでのオールスターでクラスターが発生したことも、来季以降の教訓になるはずです。

ただ、不安を抱えながらも、今季162試合を実施できたことは、大きなステップと言っていいのではないでしょうか。来季からは、過去2シーズンで実施された延長戦でのタイブレーク(無死二塁からプレー)やダブルヘッダーの7イニング制は廃止されるものとみられています。

2022年のシーズンでは、もっと安心して試合を楽しめる環境になることを願うばかりです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)