ダイヤモンドバックス平野佳寿投手(34)が、日本人メジャー1年目のホールド記録で単独2位に躍り出た。エンゼルス戦で2点リードの7回に登板。ソロ本塁打を浴び2/3回を1失点も、今季28ホールド目を挙げた。夏の甲子園で準優勝した秋田・金足農の戦いぶりなどを見聞きし、高校球児に感銘を受けて原点回帰。勝利の方程式を全うし、リーグ優勝へ突き進む。

 高校球児のように、平野は全力で腕を振った。2点リードの7回、2番手でマウンドへ。6球で2死を奪った。代打マルテには制球を乱し、フルカウントから高めの直球を左翼へ運ばれた。「思い切って投げて打たれた。打たれたのは力負け」と悔しさを表現した。

 今季28ホールドを挙げても笑顔はなかったが、高校野球の話題になると表情が晴れた。秋田・金足農の快進撃には「なんか、すごいエースの子が投げてるところですね」と声のトーンを上げた。「昨日(決勝で)打たれたでしょう。それまでも、ニュースでは見てましたよ。全部投げていたっていうことで。すごい暑い中、大丈夫かなと思うくらい」。エース吉田の力投は遠くアメリカで腕を振る平野まで伝わっていた。

 原点は高校野球-。夏になると毎年、あの頃を思い出す。「球児のみんな、暑い中ですごいことをしているなと。そこは本当に僕も、力をもらえる。初心に帰るというか、そういう気持ちで野球をやるのが大切だなと」。京都・鳥羽高校でひたすら汗を流し、土台である下半身を作った。メジャーリーガーとなった今も「投げた翌日は長めに走る」ことがルーティン。本拠地アリゾナ州フェニックスは気温40度を超えるが「ドームだし、そんなに暑くないですよ。高校生の方がよっぽどすごい」と笑った。

 球児たちの戦いぶりにも感銘を受け、メジャー1年目のシーズンをまい進する。「チームが勝ったんで、良かった」。1試合を全力で勝ちにいく。高校の時から変わっていない。【斎藤庸裕】

 ◆日本人メジャー1年目のホールド数 04年に当時パドレスに在籍した大塚晶則氏の34ホールドが最多。レッドソックスで活躍した岡島秀樹氏が07年シーズンで27ホールドをマークしていたが、平野が今季28ホールドで単独2位に浮上した。

 ◆平野の甲子園 鳥羽時代の00年春の甲子園で、準決勝の東海大相模戦の3回途中から2番手で登板。3回1/3を投げて9失点(自責7)を喫し、試合も1-11で敗れ、決勝へは進めなかった。同年夏も鳥羽は甲子園に出場したが平野はメンバー入りせず。01年春はメンバーに入ったが、鳥羽は初戦の2回戦で敗れ、平野も登板機会はなかった。