09年以来、10年ぶりのワールドシリーズ(WS)には、またしても届かなかった。ヤンキースの2勝3敗で迎えたア・リーグ優勝決定シリーズ第6戦は19日(日本時間20日)、ヤ軍が9回サヨナラ負けを喫した。

すべてを終えた田中将大投手(30)は、努めて冷静に、これまでの戦いを回想した。「終わったばかりなので、実感が湧かないというところが、自分の正直な気持ちです」。9回に2点差を追い付き希望をつないだが、最後は谷底へ突き落とされた。先発投手として、ベンチで見守るしかない立場。終戦を受け入れるまでにしばしの時間が必要だった。

メジャー6年目で初の地区制覇を遂げたとはいえ、田中個人としては苦難多き1年だった。不安定だった宝刀スプリットの修正だけではない。時代は、細分化されたデータ最優先され、“飛ぶボール”へ移行。「また何か、違った壁にぶつかった年だったんじゃないかと思います」。環境の変化への適応は簡単ではない。だが、公式戦終盤で白星を重ね、ポストシーズンでは2勝。抜群の安定感を維持するほど、細部まで修正してきた。

第7戦までもつれれば、救援待機することも決まっていた。それもかなわずメジャー6年目は終わった。目指すは、絶対的な安定感を備えるエース。「来年も繰り返していたら何の成長もないことになる。自分でしっかりと突き詰めてレベルアップさせていけるように、またやらないといけない」。悔しさをグッと飲み込み、最後まで顔を上げていた。(ヒューストン=四竈衛)