カブスのダルビッシュ有投手(34)が4日(日本時間5日)、カージナルス戦に先発。7回をソロ本塁打のみの1安打1失点無四球11奪三振の快投で、ハーラー単独トップの7勝目(1敗)を挙げた。5回まではパーフェクト投球。6回にソロを浴びたものの、22打者相手に許した走者はこの1発だけ。スローカーブとチェンジアップを効果的に織り交ぜ、勝ち星、防御率、奪三振でリーグトップ。日本人メジャーとして初の7戦7連勝を飾った。

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まさに変幻自在だった。11種類ともいわれる多彩な球種を操るダルビッシュが、また新たな引き出しでカージナルス打線を手玉に取った。序盤から70マイル(約113キロ)台のスローカーブを多投して目線をずらし、あまり投げていなかったチェンジアップでバットの芯を外した。「配球が全く違うタイプの投手になるのが一番のキー。(相手が)混乱するんじゃないかなと」。これに、カージナルスのモリーナが捕手カラティニに「あいつは何種類のスライダーを投げるんだ」と首をかしげるほどの横と縦の変化を織り交ぜ、11三振を築いた。

コロナ禍による変則日程で、登板間の体調管理も例年とは異なる。SNS上でメッセージを発信する一方、自宅では常にリラックスする時間を確保してきた。「妻に何してくれとかを全く言われない。朝起きて2時間くらいゴロゴロしてても全く呼びにも来ない。それに僕が甘え切っている状態です」。疲労だけでなく、ストレスがたまりやすい状況ながら、家族の温かい気遣いを力に変え、次の試合に備えてきた。

今季は、両リーグともDH制。打席に立たないこともプラスに捉えてきた。「僕は打撃をするのがすごく嫌。(マウンドから)帰ってきて次の回に準備するだけなので、そこはすごく大きいと思います」。イニング間には、呼吸と頭の中を整え、次の1球とその後の配球を再確認。昨季まで注目された投球間のテンポも、意に介していない。本来のマイペースを取り戻したことで、失点しても大崩れしない安定感につなげた。

日本人メジャー最長となる7戦7勝でリーグ3冠。サイ・ヤング賞の最有力候補に挙げられても、気負いや色気は見せない。「僕は投げてない日、明日からはまた全く使えないポンコツに戻るので、チームにとって。そこに関してはちゃんと謙虚にしていきたいと思います」。投げない期間は、自宅で「ゴロゴロ」して、チームでは「ポンコツ」。オンとオフの切り替えが完璧なダルビッシュに、もはやスキは見当たらない。

◆カーブの割合最多 カージナルス戦の登板ではカーブ系のボールが全体の17%を占め、今季これまでの登板で最多となった。さらに、カーブ系の中でも80マイル(約129キロ)前後のナックルカーブより72マイル(約116キロ)前後のカーブを多く投球。今回はカーブが12球、ナックルカーブは5球で、今季初めてカーブがナックルカーブを上回った。また、今季これまでで初球にカーブ系を投げたのはわずか6球だが、今回の登板だけで4球を記録。早いカウントからカーブ系を使用し、さらに普通のカーブを意識的に投げていたことがわかる。

<ダルビッシュの記録>

▼日本選手初の7戦7勝。6戦6勝は95年野茂(ドジャース)02年石井(ドジャース)が記録している。

▼7戦7勝かつ全登板で1失点以下は、球団では1906年エド・ロイルバック以来114年ぶり。MLBでは14年カーショー(ドジャース)以来。

▼投球回6イニング以上かつ1失点以下は今季7度目。開幕から40試合以内で7度以上達成は、ナ・リーグでは85年マリオ・ソト(レッズ)以来35年ぶり、球団では1919年ヒッポ・ボーン以来101年ぶり。