第3シードのカブスが、第6シードのマーリンズにまさかの連敗を喫し、早くも姿を消した。

今ポストシーズン(PS)初先発となったダルビッシュ有投手(34)は、7回途中5安打2失点1敬遠1死球6奪三振と力投したものの、打線の援護がなく、敗戦投手となった。

1球で流れが変わった。緊迫した投手戦が続き、両軍無得点で迎えた7回。簡単に2死を取った後、5番クーパーに、カウント2-2から甘く入ったスライダーを左翼席へ運ばれ、ついに均衡が崩れた。その直後にも二塁打、申告敬遠、右前適時打で2点目を献上。94球でマウンドを譲った。後がなく、負けられない一戦。第3戦までいけば、今季限りで契約切れとなる左腕レスターが登板する予定だった。試合後のダルビッシュは「レスターに最低でも1試合、リグリー(フィールド)で投げてもらいたい。それができなかった」と悔しさをのぞかせた。

カブスの敗因は明確だった。この日の完封負けをはじめ、過去2戦でカブス打線はわずか1得点。公式戦で顕著になった得点力不足は、最後まで解消できなかった。それでも、ダルビッシュは冷静に言った。「向こうがいい投球をしたと思います」。

念願の世界一は、またしてもお預けとなったが、今季のダルビッシュは、安定してメジャー最高レベルの投球を続けた。8勝(3敗)を挙げ、日本人メジャー初となる最多勝のタイトルを獲得し、防御率もリーグ2位の2・01。サイ・ヤング賞の有力候補に挙げられる活躍で、地区優勝の原動力となった。「今までの人生で段違いにいいですけど、今はもっと良くなれると思います。メンタル的に違うレベルに行けたのがすごく良かったです」。その一方で、デグロム(メッツ)、バーランダー(アストロズ)ら剛球投手の名前を挙げ、「自分の中ではまだ遠いかな」と自己分析した。

終わった直後ながら、来季以降への思いも素直に語った。「足りない部分が見えました。もうちょっとレベルを上げられるかと思います」。34歳にして確かな進歩を感じられた1年。早過ぎた敗戦にも、ダルビッシュは、うつむくことなく、堂々と顔を上げた。