エンゼルス大谷翔平投手(26)が、メジャーでは初の“リアル二刀流”で存在感を存分に発揮した。「1番投手」でパドレス戦に先発。打っては第1打席で中前打を放つなど2打数2安打。投げては4回2安打1失点で5奪三振。3回にはメジャー自己最速を更新する101・9マイル(約164キロ)を計測した。コンディションを考慮しながら、固定観念に縛られないマドン監督と対話を重ねたことで実現したリアル二刀流。オープン戦の打率は6割3分6厘まで上げ、メジャー自己最速もマーク。大谷が、いよいよ乗ってきた。

3回1死一、二塁。2番タティスに対し2ストライクからの3球目で、大谷は力を振り絞った。「アァ-!」と声が出るほどの全力投球。メジャー自己最速となる101・9マイル(約164キロ)をマークした。結果はファウル。14年総額360億円の大型契約を結んでいるパドレスの若き主砲に強烈な残像を残し、外低めへのスライダーを2球続けて三飛に仕留めた。それでも「(3球目は)高めのボール球ぐらいに狙って投げて、引っかかって真ん中にいってるので。狙い通りにボールゾーンのつり球にいければ、もっといい結果になった」と悔しさをのぞかせた。

打者から投手への流れが勢いを加速させた。「自分で(点を)取れるなら、ある程度、役割もやった自信もあると思うので、よりアグレッシブにマウンドでも攻められる」。得点は奪えなかったが、1番打者として2打数2安打。3回の第2打席では18年サイ・ヤング賞左腕のスネルから「追い込まれ方も、追い込まれてからの姿勢も、そこが自分としては一番良かった」と納得の四球を選んだ。メンタルの好循環。メジャー自己最速を更新したのは、この直後の3回裏だった。

1回先頭の第1打席ではヘルメットを落としながらのフルスイングで中前打。5回は左中間へ弾丸ライナーでフェンス直撃の一打を放ったが、スライディングで勢い余って二塁のベースから離れ、タッチアウトとなった。打って、走って、投げて、試合の主役をさらった1日。「1番としての仕事はできたかなとは思います」。「1番投手・大谷」のすがすがしい表情に、確かな手応えが表れていた。【斎藤庸裕】