【アナハイム(米カリフォルニア州)17日(日本時間18日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、悪球打ちの13号3ランを放ち、本塁打数でメジャー単独トップに立った。インディアンス戦に「2番DH」で出場し、2回に左腕ヘンジスの高めに大きく外れた直球を打ち返し、右翼スタンドへ運んだ。ストライクゾーン外でも関係なく、431フィート(約131メートル)まで飛ばした豪快な一撃は、メジャー通算60号。3打数1安打3打点、今季2度目の2試合連続アーチでチームの2連勝に貢献した。

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大谷がまた周囲の度肝を抜いた。2点リードの2回1死一、三塁。198センチの長身左腕ヘンジスの93・6マイル(約151キロ)の直球は肩付近の高さに外れたが、お構いなし。フルスイングで右翼スタンドまで運んだ。メジャー単独トップの13号3ラン。今季初のヒーローインタビューでは「期待して使ってもらっているので、1試合1試合、期待に応えられるように頑張りたい」と涼しげに言った。

起死回生の逆転2ランを放った前日に続く2試合連続アーチ。4試合で3発と量産態勢に入ってきた。好調を維持するために「毎日同じ事をやって、同じリズムでゲームに入りたいなと思ってます」と、日々のルーティンをこなす。昨年7月29日のマリナーズ戦では、地面からわずか37センチの低めボール球をゴルフスイングのようにスタンドインし、この日は肩ほどの高さを柵越え。マドン監督が「彼は全てのゾーンに対応できる」とうなったように、球種、コースに限らず、本塁打にできるのが大谷だ。

手術から完治した左膝を中心に下半身の粘りがスイングを支えるが、顕著な違いは打球角度にもある。今季の平均は17・2度で4年目で最も高い数値。打者に専念した19年の6・8度、昨年の9・2度に比べて、打球が上がるようになった。ただ意図的ではなく、春キャンプでは「基本的には低い打球を打ちたいと思っている」と明かしていた。「上がっているかどうかは、(ボールの)下をたたいているかどうか」。その意識が自然と打球に角度をつけている。

シーズン40試合目。先は長いが、ヤンキースのジャッジら名だたる選手を抑え、メジャーの頂点に立つ。32打点も同4位で、試合後にファンから「MVP!」と期待する声も飛んだ。「去年と全然違いますし、(観客が)入れば入るほど選手は頑張れると思うので、もっともっとたくさんの人の前でプレーしたいなと思います」。日本人初の本塁打王と打点王、さらに二刀流でMVP-。このままいけば、夢じゃない。