【ピッツバーグ(米ペンシルベニア州)12日(日本時間13日)=四竈衛】カブス鈴木誠也外野手(27)がパイレーツ戦に「5番右翼」で出場し、2試合連続となる2号先制ソロ、さらに2打席連続で3号ソロを放った。デビュー以来、4試合で3発、8打点と好スタートを切り、早くもカ軍の主軸としての立場が固まってきた。パ軍筒香嘉智外野手(30)との「元侍ジャパン4番対決」は、まずは鈴木に軍配が上がった。

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昨年の東京五輪で侍ジャパンの4番を引き継いだ鈴木が、先輩筒香の前で一段とたくましくなった姿を披露した。両軍無得点で迎えた5回。通算83勝左腕キンタナの90マイル(約144キロ)の外角速球を右中間席へ運んだ。7回の第3打席では、救援左腕バンダの92マイル(約148キロ)の内角速球を左翼席へたたき込んだ

「状態はいいのか悪いのか、自分でも分かんないですけど、結果的に打点も稼げていますし、チームが勝つことができてすごくうれしいです」。

戸惑いが多い異国の地での初遠征でも、鈴木にとっては楽しみだった。試合前、パ軍の打撃練習が始まると、真っ先にグラウンドへ飛び出し、筒香の元へ駆け寄った。笑顔でハグを交わし、19年以来約3年ぶりの再会を喜び合った。

「ちょっと安心したというか、日本人選手が敵チームですけどやっているのは、すごく安心感があって、なんかうれしかったです」

日本では同リーグのライバルとしてだけでなく、球宴や侍ジャパンで一緒に勝利を目指した。同じ代理人事務所ワッサーマンでもあり、プライベートでも連絡を取り合う間柄。昨オフの移籍交渉の際も筒香から助言を受けた。「日本の時からずっとあこがれている先輩。こっちに来る前にも話を聞かせてもらったりしたので、会えてすごくうれしかった。僕も筒香さんの活躍を見て刺激されながらやって来た。こういう場所で一緒にできるのはすごくうれしく思います」。

2本のアーチで一塁ベースを回った際には、筒香から声を掛けられた。ただ、会話の内容については「NGの話。聞こえましたけど言えないです」と笑った。右翼の守備位置から目にする存在感のある筒香のシルエットも、鈴木にとって新鮮な景色だった。「やっぱり変わらないというか、日本の時と同じようにどっしりしてるというか、何も変わっていなかったです」。同地区でもあり、今季の両軍の直接対決は、この試合を含め、6カード19試合。今後も続く日本を代表する大砲対決は、鈴木の豪快な2発でスタートした。

 

▼鈴木が5、7回に2打席連続アーチ。日本人の1試合2打席連続本塁打は昨年の7月2日大谷(エンゼルス)以来で6人、16度目。メジャー1年目に記録したのは06年城島(マリナーズ)18年大谷に次いで3人目。

▼鈴木は2試合連続弾で開幕から4戦3発。日本人選手が開幕から4戦3発は05年松井秀(ヤンキース)17年ぶり。松井秀は1、2、4戦目に本塁打している。1年目では18年大谷が野手出場での4試合目で3号を打っていたが、チーム9試合目だった。

▼鈴木はカブスの5番、筒香はパイレーツの4番で先発。日本人選手同士が対戦した試合で、ともに先発でクリーンアップを任されたのは今回が初めてだった。