【アナハイム(米カリフォルニア州)21日(日本時間22日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)がまた1つ、記録を塗り替えた。ロイヤルズ戦に「3番DH」で出場し、日本人メジャー最多の1試合8打点。6回に14号3ランで反撃ののろしを上げると、3点を追う9回には1死から劇的な15号同点3ランを放った。球宴ファン投票の中間発表ではDH部門2位。逆転へ強烈なインパクトを残した。チームは延長11回の末に敗れたが、22日は連敗ストッパーとして今季12度目のマウンドに上がる。

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ものすごい、すさまじい、とてつもない…。果たしてどんな言葉が適当だろうか。ひと言では表現できないほどの大暴れだった。3点を追う9回1死一、二塁、大谷は右腕バーローのカーブを完璧に捉えた。「ランナーがいたので、自分の間合いで振ることを意識しました」。打球を見上げ、確信歩きから振り向きざまに自軍ベンチを指さし、叫んだ。約133.5メートルの特大弾は、右翼フェンス後方の通路へと消えていった。

6回には11日のメッツ戦以来、8試合ぶりの本塁打となった反撃の14号3ランを放っており、今季4度目の1試合2発。さらに2本の犠飛で合わせて8打点。大先輩たちの記録を超え、日本人メジャー選手の歴史を塗り替えた。それでも勝ちきれなかったことに「難しい…ですね」と悔しさをにじませながら、「欲をいえばもっともっといい打席に、特に犠牲フライの打席はヒットでつなげればもっと点をとれた。そういうところも1つ反省かなと思います」。2点を追う延長11回には1死一、三塁から左犠飛で1点差に迫るもあと1歩、及ばなかった。

両軍合わせて23得点の乱打戦。お祭りゲームの主役をさらい、球宴ファン投票のトップ選出にも希望をつないだ。試合前にあった中間発表では1位のアストロズ・アルバレスと約28万票差。差は大きいが「投票してくれたことはすごくありがたい。励みにして1試合1試合、頑張りたい」。投票の1次締め切りまで7試合。現時点の打撃成績では劣るが、メジャーの顔として人気度や注目度では勝る。この日のように逆境で力を発揮するのが大谷の真骨頂。大逆転へ、強烈なパフォーマンスだった。

激戦の翌日は先発マウンドへ上がる。ここ2試合の登板はいずれもチームの連敗を止める快投を見せた。「今日は(投打が)かみ合ってなかったですけど、チャンスも多く作ってましたし、いいところもたくさんあったので、切り替えて頑張りたい」。試合時間4時間14分、延長11回フル出場で8打点を挙げ、翌日に先発する。超人的な体力と気力をフル稼働する二刀流。そのエネルギーは計り知れない。

○…ア・リーグ球宴投票のDH部門で大谷を上回り中間投票1位だったアストロズのアルバレスも1発を放った。メッツ戦に「4番DH」で出場し、3回に19号2ラン。本塁打数ではジャッジ(ヤンキース)トラウト(エンゼルス)に続き3位タイで、OPSは両リーグトップの1.038と絶好調。前日は手のケガで欠場しただけに「とてもうれしいよ。試合を見てくれれば分かるように、ケガはもう大丈夫」と話した。