【グレンデール(米アリゾナ州)13日(日本時間14日)=四竈衛、斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、徹底的な走塁改革を行った。キャンプイン5日目、ブルワーズなどの監督を務めたロン・レネキーGM特別補佐から指導を受け、ダッシュや盗塁スタートの練習を繰り返した。走塁練習中には最新機器を用いたダッシュでビックリ&ドッキリのハプニングも発生。大事には至らずで、3月20日の開幕戦(韓国・ソウル)に向けて順調に調整した。

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ビックリ、ドッキリ、そして大笑い…。周囲の目線をくぎ付けにする大谷劇場だった。午前10時半すぎ、本格的な走塁練習を始めた。「1080Motion社」の最新機器を使い、ベルトにワイヤをつけてダッシュを開始。1本目はすんなり終えたが、2本目、低い体勢から大谷が全力スタートを切ると、ワイヤが引きちぎれたのか、声を上げながら転倒。驚いたのもつかの間、とっさに受け身を取って危機を回避した。

見守っていたロバーツ監督、水原通訳らもビックリ。思わぬハプニングだったが、何事もなく大谷は立ち上がった。すると、担当トレーナーの方に歩み寄り、脇腹を押さえるようなしぐさで痛がるフリ。まさかの故障再発か…と思いきや、問題なし!即席のドッキリを仕かけたのか、大笑いでトレーナーを抱き寄せた。「ハハハハハ」と、いつものように笑い声が響き、その場は一気に和んだ。

それにしても、最新機器に何が起きたのか。キャンプ2日目にも使った「1080Motion社」の同社の担当者によれば、「原因はいくつかあると思うが、普通ではない」。スプリントスピードで言えば、毎秒14メートルまでワイヤは耐えられるほど頑丈だという。ちなみに「ウサイン・ボルトでさえ毎秒12・5メートル。毎秒14メートルを上回るのは人間ではありえない」と話した。人類史上最速のスプリンターと評され、100メートルの世界記録保持者のスピードでもワイヤは切れないそうだ。

幸い大事には至らず、大谷は走塁練習を中心に約2時間の調整で順調に終えた。前日は161日ぶりに屋外でのフリー打撃を開始。140メートルの特大弾を放つなど、予想以上の好感触を得た。驚きや笑いが続くドジャースキャンプ。連日、目が離せない。【斎藤庸裕】