【ソウル(韓国)19日=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が新たな歴史のページを開く。20日、パドレスとの開幕戦で公式戦199日ぶりに打者で復帰。ドジャースの一員として初めて、レギュラーシーズンを戦う。昨年、自身2度目となる右肘の手術を行い、今季は打者に専念。幕開けは、憧れの存在でもあるダルビッシュ有投手(37)との初対決となる。この韓国シリーズ中に、昨年のWBC優勝からちょうど1年を迎える。今度は韓国の熱狂の中で、復活の雄たけびを上げる。

ドジャース大谷の歴史が、いよいよ幕を開ける。開幕前日は選択制の練習には参加せず、休養日として状態を整えた。プロスポーツ史上最高額の7億ドル(約1050億円)で10年契約を交わし、伝統球団の一員として待ちに待った開幕戦。歴史的な1日の第1打席で、立ち向かうのは憧れの投手ダルビッシュだ。日米通じて初の直接対決が、記念すべきドジャース初打席、そして公式戦199日ぶりの打者復帰となる。

ちょうど1年前の3月20日。米国東海岸の南端マイアミで歓喜を生んだ。WBC準決勝のメキシコ戦、1点を追う9回に大谷がチームの空気を変えた。先頭で二塁打を放つと、ヘルメットを飛ばして激走。二塁ベース上で「カモーン!」と雄たけびを上げ、激しいジェスチャーで侍ジャパンを鼓舞した。ここから打線がつながり、逆転サヨナラ勝ち。翌21日の世界一につながった。WBC名勝負の一戦として語り継がれるストーリーを、自ら作り上げた。

場所を変え、今度は韓国・ソウルが舞台となる。母国日本の隣国で、注目度が異様に高い。複数の現地ファンの証言によると、あのWBCの活躍も爆発的な人気の一因だという。開幕戦前に行われたエキシビションマッチ2試合では5打数無安打だったが、アドレナリン全開の大舞台でこそ集中力が増すのは間違いない。歓喜を再び-。4日前の記者会見では「注目してもらえるのはありがたい」としており、計り知れない期待を一身に背負う覚悟だ。

昨年、自身2度目となる右肘の手術を経験し、リハビリと並行して戦う24年シーズン。投球プログラム再開も近づいているが、まずは打者として悲願のワールドシリーズ制覇が目標だ。ド軍打線をけん引するベッツ、フリーマンとメジャーを代表するMVP選手に囲まれ、ドジャースの「2番DH」として打席に立つ。「3・20」から始まる歴史の新章。主役はもちろん、大谷翔平だ。

 

<大谷の記念日あらかると>

◆2月29日「愛が生まれた日」 24年、結婚を電撃発表。後に元バスケットボール選手の田中真美子さん(27)を韓国到着時に公の場で連れ歩いた。

◆3月20日「吠えた日」 23年WBC準決勝メキシコ戦で1点を追う9回に先頭で二塁打を放ち、ベース上で「カモン!」と吠えて味方を鼓舞。不振だった村上のサヨナラ打を呼び込んだ。

◆3月21日「世界一の日」 23年WBC決勝で米国と対戦。最終回に守護神として登板し、盟友トラウトを三振に仕留め、漫画を超えたシナリオで世界一に。

◆3月29日「メジャーデビューの日」 18年にエンゼルスの一員としてアスレチックス戦でメジャー初出場。伝説の1歩目を刻む。

◆4月4日「ベーブ・ルースになった日」 エンゼルス時代の21年、ホワイトソックス戦でメジャー移籍後初めてリアル二刀流で出場。

◆7月5日「誕生日」 94年岩手県で生まれる。

◆7月27日「伝説の日」 23年、タイガースとのダブルヘッダーで完封&本塁打を記録するメジャー史上初の快挙。

◆10月1日「ホームラン王の日」 23年の全日程を終え、44本塁打で日本人初の本塁打王に。

◆10月16日「最速の日」 16年CSファイナルステージ第5戦のソフトバンク戦で当時日本人最速の165キロをマーク。

◆10月25日「二刀流誕生の日」 12年ドラフトで日本ハムから1位指名。メジャー挑戦の意思を示していたが、後に二刀流育成プランなどを提示され、12月9日に入団を表明した。

◆10月29日「日本一の日」 16年日本シリーズ第6戦で4勝2敗で広島を下し、自身初の日本一に。

◆12月9日「世界最高の選手となった日」 23年にドジャース入団を表明。10年総額7億ドル(当時約1015億円)とプロスポーツ史上最高額の契約だった。

 

<大谷翔平データ>

▼大谷は過去に日米通算11年プレー(日本5年、米国6年)。シーズン初戦で打席に立ったのは9試合あるが、本塁打はない。初の開幕アーチが飛び出すか。

▼大谷とダルビッシュが対戦するのは、日米を通じて初めて。大谷は大リーグ移籍後、日本人投手8人と対戦し、菊池から3本、前田から1本の本塁打を放っている。