【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)27日(日本時間28日)=四竈衛】名実ともにメジャーの「顔」となったドジャース大谷翔平投手(29)が、本拠地のカージナルス戦でいよいよ米国での「ド軍デビュー戦」に臨む。MLBの公式戦は28日(同29日)、全米各地で一斉に開幕する。ド軍はこの日、大谷の「後払い」契約を最大限に生かし、ウィル・スミス捕手(29)と10年総額1億4000万ドル(約210億円)で契約を延長。最強軍団の基盤を一段と強化して、24年の再スタートを切ることになった。

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「本拠地デビュー戦」に臨む大谷に、より万全な環境が整った。昨オフ、大谷、山本、グラスノーと大物選手を続々と獲得したド軍は、韓国での開幕後も強化の手を緩めていなかった。米国開幕の前日、強打のスミス捕手と33年までの10年間の契約延長で合意。捕手の10年契約はポージー(元ジャイアンツ)、マウアー(元ツインズ)の8年を上回り、史上最長だ。常勝軍団の「扇の要」を固めて、今季だけでなく、少なくとも今後10年間の戦力を盤石なレベルに引き上げた。

スミスの契約延長により、同じく10年契約の大谷、12年契約の山本をはじめ、32年まで契約を残すベッツ、27年までのフリーマンと、投打の主軸選手が、腰を落ち着けて戦える状況となった。来季、投打の「二刀流」で完全復活を期す大谷にとって、スミスは今後も長期にわたってコンビを組み続ける相棒。将来的には、攻守の総合力でリーグ最強のバッテリーとなる可能性もあるだけに頼もしい存在に違いない。

今回のスミスの大型契約延長は、「大谷マネー」を有効利用した結果だった。昨オフ、スポーツ史上最高額となる10年総額7億ドル(約1015億円=当時レート)の巨額契約を結んだ際、大谷は今後10年間は年俸200万ドル(約2億9000万円)、34年以降の10年間で各6億8000万ドル(約986億円)を受け取る「後払い」を自ら提案した。その際、「今、自分が受け取れる金額を我慢してペイロール(年俸総額)に柔軟性を持たせられるのであれば、僕は全然後払いでいい」と話したように、ド軍の補強継続、そして常勝軍団構築こそが、大谷の切なる願いだった。

韓国遠征中に発覚した水原元通訳の違法賭博疑惑も、大谷自身が25日(同26日)に口を開いたことでひとまず沈静化へ向かった。会見では「気持ちを切り替えるのは難しいですけど、シーズンに向けてまたスタートしたい」と率直な思いを口にしたものの、試合が始まれば目の前の1球に集中するのが大谷。メジャー7年目で初のポストシーズン、そして世界一へ-。今やド軍のみならず、メジャーの「顔」となった大谷が、心機一転、本拠地で豪快なフルスイングを披露する。