【サンディエゴ(米カリフォルニア州)1日(日本時間2日)=四竈衛】ホワイトソックス村上宗隆内野手(26)が日本人メジャー史にメモリアル弾を刻んだ。パドレス戦に「2番一塁」で出場し、3試合ぶりの13号3ランを放った。再びメジャー単独トップに立つ1発は、日本人メジャー通算1000号の記念アーチ。ドジャース野茂の日本選手1号から28年、驚異のペースで本塁打を量産する新人が、チームに今季初の4連勝をもたらした。
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心地良い海風が舞う中、満員に膨れ上がった敵地スタンドのどよめきを背に、村上は軽快な足取りでホームを踏んだ。3点を先制し、なお2回2死一、三塁。先発右腕マルケスの真ん中付近へのナックルカーブをバットに乗せた。「いい角度で上がってくれた。ビッグイニングを作れたのは良かった」。
相手の戦意をそぐ一撃は、日本人メジャー通算1000号の記念弾となった。そのうち、最多の286本を積み重ねるドジャース大谷に対し、村上はまだ13本を打ったに過ぎない。「僕自身は、全然、比較対象じゃないと思ってます。本当に大谷さんがやってきたことが、どんだけすごいことかというのを、ここでプレーして感じてます。まだまだ足元にも及ばないので、自分を成長させて頑張っていきたいと思ってます」。継続することの難しさを知るだけに、大谷への敬意にも、より実感がこもっていた。
キング争いで首位に立った一方、46三振はリーグ2位タイ。無論、誰も空振りはしたくない。ただ、空振りを怖がる感覚は、村上にはない。「迷いがある時も何打席かはある。そこの反省を踏まえて、中途半端なスイングはやめようという意識はあります」。その結果、リーグ3位タイの四球、同2位タイの26打点。「選球眼というか、チョイスする球はすごく大事になってくると思います」。九州男児らしく、腹をくくって打席に入る姿勢は、ヤクルト時代と変わっていない。
結果を残し続けることで、ホ軍内での立ち位置も変わってきた。休日の前夜は、遊撃モンゴメリー、二塁マイドロスらの野手だけでなく、先発前日の左腕シュルツら20代前半の若手選手と一緒に、サンディエゴ近郊のすし店へ出かけた。「僕が払いました」。メジャーでは年功以上に、「年俸序列」。立場も自覚も、中軸そのものだった。
この日のスタメンは、先発投手を含め平均年齢25・6歳。「ベンチの中もすごくいい雰囲気でいるので、これを続けていきたい」。昨季まで3年連続100敗したホ軍が4連勝して借金返済まであと「2」、首位と1・5ゲーム差の3位と健闘する。再建途上の若きチーム内で、「ムネ効果」は計り知れない。
▼ホワイトソックス村上が、メジャー単独トップに立つ13号。デビュー32試合目で13本は、17年リース・ホスキンス(フィリーズ)の16本、18~19年アリスティデス・アキーノ14本(レッズ=後に中日)に次ぐメジャー史上3位。シーズン65本ペース。デビューから長打がすべて本塁打のみの13本は、1900年以降、自身のメジャー記録を更新(2位は元ソフトバンク李大浩の10本)。
▼村上は2四球で通算27四球。シーズン32試合目までに13本塁打&27四球以上は、オプタスタッツによると、1928、30年ベーブ・ルース、92年マグワイア、06年プホルス、トーミに次いで5人目。
▼村上と5回に9号本塁打の同僚モンゴメリーは、今季7度目のアベックアーチ。MLBのラングス記者によると、現在32試合目だが、シーズン35試合目までに拡大しても史上最多。56年マントル&ベラ(ヤンキース)80年シュミット&ルジンスキ(フィリーズ)、94年ガララーガ&バークス(ロッキーズ)の6度を抜いた。
▽ホ軍ベナブル監督(今季7回目のアベック弾を決めた村上とモンゴメリーの相乗効果について)「打線の中軸に一振りで得点を変えられる選手がいれば、間違いなく大きな違いが生まれる。それが彼らの前後にいる選手、打線全体の打席の質を上げているいることを誇らしく思う」
◆日本人選手の衝撃の本塁打
◆第1号(ドジャース野茂英雄・98年4月28日ブルワーズ戦)記念すべき日本人第1号は投手の野茂。おのを振り下ろすかのようにフルスイングすると、打球はドジャースタジアム左翼後方にあるブルペンに落下した。近鉄時代は打席に立たず、これがプロ1号。「うれしかったです。それだけです」。投げては11奪三振で完投勝利。
◆元祖4番打者(メッツ新庄剛志・01年9月7日マーリンズ戦)4番打者での1発は新庄(現日本ハム監督)が初。試合前の練習で、相手4番プレストン・ウィルソン外野手からバットを拝借して本塁打。「4番をかなり楽しんでいる」。
◆本拠地デビュー満塁弾(ヤンキース松井秀喜・03年4月8日ツインズ戦)ヤンキースタジアムでの初戦で満塁本塁打を放った。同球場での初試合で満塁本塁打を放った選手は初めて。ルースやディマジオ、ゲーリッグら伝説の選手がプレーした球場だけに「打った場所が違う。やはり、これまでの本塁打とは違います」と喜びをかみしめた。
◆開幕戦プレーボールでデビュー弾(メッツ松井稼頭央・04年4月6日ブレーブス戦)メジャーデビュー戦で先頭打者初打席の初球を、バックスクリーンへたたき込んだ。1900年以降、開幕戦先頭打者の初球でデビュー1号は初めての快挙。前年、ナ・リーグで最多勝を獲得したブレーブスのオルティスも脱帽の1発だった。
◆グリーンモンスター越え(ホワイトソックス井口資仁・05年8月12日レッドソックス戦)聖地フェンウェイパークに初見参の井口が、日本人メジャー初となる名物グリーンモンスター(左翼11・3メートルの特大フェンス)越えの本塁打。9回2死、守護神カート・シリングから放った。その後、岩村、大谷、吉田もグリーンモンスターを越えた。
◆元同僚(カブス福留孝介・09年7月8日ブレーブス戦)ともに中日でプレーした元同僚の川上憲伸から本塁打。「打席に入っていても向かってくるのが伝わった。気持ちよく打席に入れた」と充実感があふれた。日本選手同士の対決で本塁打は通算16度あるが、元同僚のケースは福留対川上だけ。
◆リベラ撃ち(マリナーズイチロー・09年9月18日ヤンキース戦)のちに殿堂入り投票で史上唯一の満票となるヤ軍の守護神マリアノ・リベラからサヨナラ本塁打。それまでバットをへし折られるか空振りを奪われていた内角のカットボールを狙った。ゆっくりベースを回り「できるだけゆっくりと。だって初めてだしね。なかなかヤンキースの試合でね。その方がいいでしょう。もったいないじゃん」。
◆初登板で1発(ドジャース前田健太・16年4月6日パドレス戦)初登板初勝利の試合で初アーチ。ド軍の投手がデビュー戦で本塁打を打つのは1947年バンクヘッド以来69年ぶり。「僕にとって最高の1日。忘れられない1日」。
◆イニング2発(レッドソックス吉田正尚・23年4月23日ブルワーズ戦)同年のWBCで打点王になった吉田が4番で本領発揮。初のグランドスラムを含む1イニング2本塁打の離れ業をやってのけた。8回の第4打席でソロを放つと、2死満塁で巡った第5打席に満塁弾をたたき込んだ。
◆超特大(エンゼルス大谷翔平・23年6月30日ダイヤモンドバックス戦)自己最長の飛距離493フィート(約150メートル)。データ解析「スタットキャスト」が導入された15年以降で球団最長、エンゼルスタジアム最長の一撃。ネビン監督は「あれ以上飛ぶ打球は今後、見ないだろう。素晴らしい」と異次元の飛距離を絶賛。
◆サヨナラ満弾(ドジャース大谷翔平・24年8月23日レイズ戦)3-3の同点で迎えた9回裏2死から。四球でも単打でもサヨナラだったが1発で決め「最後、僕は打ちましたけど、そこまでのチャンスを作ってくれる作業が必要なので。そういう人たちのおかげ」。
◆「50-50」(ドジャース大谷翔平・24年9月19日マーリンズ戦)3打席連発を含む6打数6安打10打点の歴史的な大谷劇場。本塁打は49、50、51号。盗塁はシーズン50、51個目を決め前人未到の「50-50(50本塁打&50盗塁)」に到達した。
◆デビュー早々5戦連発(ホワイトソックス村上宗隆・26年4月22日ダイヤモンドバックス戦)新人の5戦連発は最長タイ(13人目)。日本人でも昨年の大谷に並ぶ最長タイ。デビュー24試合目の10号は日本人史上最速となった。



